ブログみよみよ日記

2016年 6月 市民福祉常任委員会①

引用元:金沢市議会議事録

平成28年  6月 市民福祉常任委員会

          市民福祉常任委員会記録
1.開会日時     平成28年6月2日(木)
2.開議時間     開会 午前10時~閉会 午後0時4分
3.場所       第3委員会室
4.出席委員(8名) 源野和清委員長、松井 隆副委員長
           熊野盛夫、広田美代、下沢広伸、松村理治、
           小阪栄進、田中展郎の各委員
5.欠席委員(0名)
6.出席説明員    別紙のとおり
7.事務局出席者   山口調査係長、酒井主任
8.審査事件等    別紙のとおり
9.議事の経過等   以下のとおり
 委員長の開議挨拶に引き続き、報告事項の説明を受け、質問応答を行った。その後、委員会視察について協議し、閉会した。

△[報告事項] 
・平成28年度金沢市女性活躍促進モデル企業の選定について
                 ・・・・・・・東田人権女性政策推進課長
 平成28年度金沢市女性活躍促進モデル企業の選定について報告する。市民局報告案件-1を見てほしい。
 金沢市女性活躍促進プロジェクト事業に平成26年度から2年間参加し、女性の活躍について、職場環境の改善、人材育成に継続して取り組み、今後さらに積極的に取り組む実施計画を策定した企業から、平成28年度金沢市女性活躍促進モデル企業として4社を選定した。
 モデル企業選定の目的だが、女性活躍促進に取り組む企業を選定し、その取り組みを支援することで、本市において女性が働きやすい環境づくりを推進するほか、その取り組みと成果が本市企業の女性活躍推進へと波及することを目指すものである。
 選定企業だが、今年度は株式会社アイ・オー・データ機器、株式会社エイム、医療法人社団博友会金沢西病院、株式会社国土開発センターの4社である。主な取り組みだが、女子学生向けインターンシップ、キャリアルートの明確化、管理職候補となる女性社員の育成、時間外労働削減のためのアクションプランの継続実施と研修、ノー残業デーの実施などである。選定企業に対しては、6月1日にモデル企業選定を証する選定証を市長より交付した。
 モデル企業への支援だが、企業のモチベーションアップと取り組みを支援するための奨励事業として、人材育成や働き方を見直す取り組みへの必要経費の補助、学生や求職者の企業研究指標としてのイメージアップ、本市企業への波及を目的とした市のホームページや男女共同参画情報誌るうぷでの特集記事による広報を行う。さらに、モデル企業4社と平成27年度の参加企業交流ミーティングを開催し、取り組みの推進を図る予定である。
 本事業により女性の能力の活用や職域の拡大、男女がともに働きやすい環境づくり、仕事と家庭の両立が促進され、女性が活躍できるまち金沢に向けて前進することを期待している。
・子どもの貧困対策チームの設置について・・・・・・・・・高柳福祉総務課長
 子どもの貧困対策チームの設置について報告する。福祉局報告案件-1を見てほしい。
 近年、大きな課題となっている子どもの貧困について、各種施策の実効性を確保できるよう、庁内の関係各課が共通認識を持って、情報の共有と窓口や施策の連携を図ることを目的として、部局横断の対策チームを設置するものである。なお、国の調査によると、子どもがいる世帯のうち、大人が1人の世帯、ここには例えば親ではなく成人した兄弟1人と暮らしている子どもの世帯のほか、祖母と暮らしている子どもの世帯も含んでいるが、ひとり親世帯では相対的貧困率が高いことから、本チームでは今年度策定する第3期金沢市ひとり親家庭等自立促進計画における施策の検討もあわせて行うこととしている。
 チームの構成だが、子どもの貧困対策の推進に関する法律の基本理念に沿って、教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援の観点から関係課所を選定した。資料のとおり15の課所の職員で構成することとし、経済的な支援のほか、貧困の状況にある子どもの発達や発育を支援する体制をとっている。
 今後のスケジュールだが、現在、参加する職員の推薦を各課に依頼しており、6月定例月議会終了後に第1回チーム会議を開催する予定である。今後は、現行の施策を整理した上で、本年度末までに庁内の連携方法や施策について検討したいと考えている。なお、ひとり親家庭等自立促進計画については、昨年度に引き続き同計画の策定委員会で審議を行っている。
・障害福祉事業者の不正請求について・・・・・・・・・・・岩野障害福祉課長
 障害福祉事業者の不正請求について報告する。福祉局報告案件-2を見てほしい。
 概要だが、障害のある方が利用した福祉サービスに係る給付費について、事業者の架空請求により給付費を詐取していたことが判明したものである。不正請求事業者はNPO法人創裕会、事業所名称は創裕会ワークスタジオ藍、事業所所在地は金沢市高畠2丁目150番地、定員は25人である。事業内容だが、障害のある方を通わせて、箱折りやウエスと呼ばれる機械の油を拭く布の製作、販売のほか、レクリエーションなどを行っていた。経緯だが、まず昨年10月上旬に行った監査及びその後の聞き取り調査により架空請求が判明したため、9月分以降の支払いを停止した。その後、ことし2月に事業所の登録を取り消した後、5月10日に金沢中警察署へ告訴状を提出し、翌11日に関係者が逮捕され、きのう関係者が起訴された。なお、金沢中警察署とは早い段階から協議を重ねており、捜査は今も継続中と聞いている。不正請求額は、平成26年度4月分から平成27年度8月分までで1,000万円を超えると見込んでいるが、総額については現在調査中であり、今後の警察の捜査を踏まえて、被害額が確定次第、返還請求を行う予定である。
 本市の対応について、利用者の支援状況だが、利用者16名のうち11名は別の事業所を利用することとし、残り5名は相談支援事業所が別の事業所の利用について対応中であり、市も相談支援事業所と随時連絡をとっている。再発防止策だが、5月27日に市内の地域活動支援センター14事業者に対し、請求書様式の変更、運営並びに報酬請求上の注意、コンプライアンス体制の再確認について集団指導を実施した。また、他の事業所と重複した請求を発見するため、新たに情報システムの構築に取り組み、今月中に事件発覚前の4月分の給付費請求に係るチェックを全ての地域活動支援センターについて実施する予定である。帳票形式が異なるそれ以前の請求分については、全事業所の数カ月分のサンプル調査を実施し、検証したいと考えている。さらに、7月末までに市内の全ての地域活動支援センターに対し実地指導を行うほか、複数の職員による請求チェックを行うこととしている。
・プロスポーツチームと連携した受動喫煙防止の啓発について
                     ・・・・・・・山森健康政策課長
 プロスポーツチームと連携した受動喫煙防止の啓発について報告する。保健局報告案件-1を見てほしい。
 目的だが、喫煙が健康に与える影響を市民に周知し、受動喫煙を防止する環境づくりを推進するために、プロスポーツの公式試合で啓発活動を行うものである。1つ目のツエーゲン金沢では、6月4日土曜日に西部緑地公園陸上競技場で行われる京都サンガ戦において、試合開始前に会場の大型ビジョンでの映像放送のほか、アナウンスで受動喫煙防止の大切さを啓発する。また、入場口では、啓発グッズとして、配付したチラシとオリジナルクリアファイルを来場者へ配布する。なお、オリジナルクリアファイルについては、選手の直筆サイン入りを280枚用意する予定である。2つ目の石川ミリオンスターズでは、8月5日金曜日に石川県立野球場で行われる読売巨人軍3軍戦において、試合開始前に市長と選手とのトークショーなどのイベントを行うほか、啓発グッズの配布を予定しており、詳細が決まり次第、広報等で周知する。受動喫煙の防止については、今後ともさまざまな機会を捉えて啓発、推進していく。
・平成27年度金沢市食品衛生監視指導計画の実施結果について
                     ・・・・・・・堂村衛生指導課長
 平成27年度金沢市食品衛生監視指導計画の実施結果について報告する。保健局報告案件-2を見てほしい。
 食品衛生監視指導計画は、食品衛生法の規定に基づき、管轄区域の食品製造等事業所の実情や衛生上の危機状況などを勘案し、さらに市民の意見を反映した上で毎年度策定しているものである。
 平成27年度の実施結果の概要だが、食品営業施設等の立入検査では、計画立入回数5,461回に対し、延べ5,424回の立ち入り検査を行い、その結果、監視実施設3,219施設のうち、飲食店、魚介類販売業、中小規模の弁当屋等の1,454施設で調理従事者の健康チェックの未実施や施設の清掃、従事者の手洗い等が不十分などの不適切事項の指摘があり、その場で営業者等に改善の指導を行った。食品等の検査だが、石川県金沢食肉流通センターでは、48カ月齢超の牛1,820検体についてBSE検査を実施したところ、全て陰性だった。また、福島第一原発事故を受け、平成23年8月から行っている放射性セシウム検査では、石川県金沢食肉流通センターから出荷される牛肉について、平成27年9月まで1,387検体について全頭検査を行い、全て異常がなかった。なお、10月以降は食肉事業者の自主検査に移行している。食品の収去検査--抜き取り調査では、細菌、ウイルスなどの微生物検査と食品添加物や農薬などの理化学検査を行い、計画検査数1,317検体に対し、市内で製造及び流通している食品1,312検体を検査した結果、生食用カキの大腸菌最確数基準を超過したものが1件あった。
 食中毒の発生状況だが、昨年度9件発生し、患者数は302名で、原因物質はノロウイルス、寄生虫及び食中毒菌等によるものであった。
 市民からの苦情相談状況だが、相談総数は138件で、内訳は異物混入、腐敗などの食品に関する苦情が40件、飲食に伴い下痢等の症状が出た等の申し出があったが食中毒と断定できなかった有症苦情が50件、施設の衛生状態やその他に関する相談が48件であった。これらの苦情相談については、市内の営業施設や製造元に立入調査を行って再発防止の指導をした。また、市外の施設については、管轄の保健所に調査指導を依頼し、その結果の報告を受けてそれぞれの相談者に回答した。
 市民、事業者への啓発及び講習会の実施状況だが、市民を対象とした意見交換会や講習会などを12回実施し、1,640名が参加した。さらに、食品等事業者には58回、3,229名を対象に食中毒の予防や衛生管理などについて出前講座などを行った。その他、テレビやラジオ、新聞などのメディアや業界の情報誌などに食の安全・安心に関する情報を24回提供し、食中毒予防や衛生管理などについてホームページ等でも啓発を行った。今後も食の安全・安心確保のため、監視指導と啓発等を実施していく。

△[報告事項に対する質問応答] 

◆田中展郎委員 子どもの貧困対策チームについて聞く。これまで子どもの貧困は都会だけの問題だと認識していたが、地方都市まで及んで来たことを大変憂慮している。そのような中で部局横断チームをつくることは大変よいことであり、ぜひ実績を上げてもらいたい。資料中、厚生労働省の平成25年国民生活基礎調査では、子どもの貧困率が16.3%で、子どもがいる世帯のうち大人が1人の世帯の貧困率は54.6%とのことだが、金沢市ではどのような状況なのか。

◎高柳福祉総務課長 国の調査については、日本全国を対象としたサンプリング調査であり、市町村単位での調査を積み上げたものではなく、現状の金沢市の貧困率を示す正確なデータはない。この調査以外では、山形大学による研究で石川県の状況が出ており、それによると全国平均より低いというデータ出ているようだが、一部の研究者による調査結果だと考えている。

◆田中展郎委員 なかなか状況をつかむのは難しいが、状況を把握することで、早く問題を解決できると思う。対策チームには、ひとり親家庭の支援を所管する福祉総務課も入っているが、現在、どれくらいのひとり親家庭がいるのか、支援内容とあわせて聞く。

◎高柳福祉総務課長 金沢市におけるひとり親家庭の人数については、幾つかの統計がある。まず国勢調査の結果だが、平成22年の調査では金沢市内のひとり親家庭は2,781世帯となっている。ただし、この中には祖父母のいる世帯は含まれておらず、純粋に親1人と子どもだけの世帯の数である。祖父母と同居している場合でも、状況によっては児童扶養手当などの支援の対象となることは多く、その受給資格者という観点からみると、ことしの2月現在で3,799世帯がひとり親家庭ということになる。ただし、死別によってひとり親家庭となった場合は、遺族基礎年金の支給額が児童扶養手当よりも高ければ、児童扶養手当は受給できないので、さきに挙げた3,799世帯のうち死別でひとり親家庭となった方は含まれていない。
 ひとり親家庭への支援策について、福祉総務課の所管では児童扶養手当の支給や無利子、低利子での母子父子寡婦福祉資金貸付金などがあるが、いずれも国の事業である。また、看護師や介護福祉士など経済的自立に非常に効果のある資格取得のために養成学校へ通う方に対する給付金の交付などの就業支援も行っている。さらに、大学生ボランティアを派遣して子どもの話し相手や遊び相手になってもらったり、学習を支援する事業も行っている。

◆田中展郎委員 さまざまなデータや情報があり、現状で対策を立てるのは難しいと思うので、ぜひ対策チームが連携して正確な情報をつかんでほしい。
 子どもの貧困対策に関連して、生活保護の現状を子どもの学習支援の内容とあわせて聞く。

◎辻生活支援課長 生活保護世帯は、平成28年6月1日現在、世帯数は3,654世帯、人員数は4,370人であり、子どもの数は5歳以下67人、小学生98人、中学生72人、高校生85人の計322人で、生活保護人員数の7.4%である。参考だが、母子世帯数は130世帯で全世帯数の3.6%、人員数は375人で全人員数の8.6%、子どもの数は5歳以下48人、小学生70人、中学生53人、高校生57人の計228人で、生活保護世帯における子どもの70.8%が母子世帯の子どもとなっている。
 子どもの学習支援事業だが、社会福祉協議会へ委託し、生活保護世帯、生活困窮者世帯の中学生を対象に定期的に学習教室を開催して、高校進学を支援するほか、高校生についても居場所の提供を行い、中途退学の防止に取り組んでいる。学習支援を行う学生ボランティアは、平成28年度は30人が登録しており、金沢大学が22人、星稜大学が8人となっている。開催日時だが、自習形式については毎週金曜日の午後4時から7時まで、マンツーマン方式については隔週土曜日の午前9時から午後5時まで1回当たり2時間程度の支援を行っている。場所は松ヶ枝福祉館であり、参加しやすい環境をつくるために、平成27年度からはバス代を全額補助している。平成24年7月から実施しており、参加登録者数は毎年20人ぐらいで、今年度は5月30日現在15人となっている。

◆田中展郎委員 さまざまな学習支援を行っているようだが、これで十分ということはないので、これからつくる対策チームでも積極的に取り組んでほしい。
 市として、対策チームをつくるのはよいことだが、事件が起きると警察や病院との連携が必要になると思うが、その辺の現状について聞く。

◎高柳福祉総務課長 児童虐待などの問題が起こった際に警察との連携が必要となるため、対策チームには児童相談所も入っている。児童虐待の問題も貧困の課題の大きな要素であることから、中核市で横須賀市と本市だけが児童相談所を設置している強みを生かしていきたい。医療機関、病院との連携については、子どもの健康の保持、医療費の助成などの支援を行っているが、貧困の状況にある家庭ではなかなか医療機関を受診せず、十分な健康管理ができていないなどの統計が出ていることから、今後、連携を強化して対策を立てていきたい。

◆広田美代委員 子どもの貧困対策チームについて、関連して聞く。日本では、2009年に初めて公式に子どもの貧困率を14.2%、約7人に1人ということを発表し、当時、OECD諸国の中でも最悪水準だと大問題となった。その後も抜本的対策をとらずに悪化傾向が続き、昨年発表された最新数値では、子どもの貧困率が16.3%、約6人に1人へと拡大している中で、平成25年に子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立した。この法律は、貧困の基本概念の定義がないなど具体的でない部分もあるが、事態を打開する第一歩となる法律だと考えている。この法律では、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境整備、教育の機会均等を目的に掲げたほか、子どもの貧困対策を総合的に策定すること、対策等を実施する国及び地方自治体の責務を明記している。子どもの貧困対策の推進に関する法律は、報告資料にもあるとおり「子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現する」ことを求めており、本市が地方自治体の責任として対策チームをつくったのは大きな意義がある。本市の対策チームの設置目的を改めて聞くとともに、各種施策の実効性を確保するための具体的な取り組みをあわせて聞く。

◎高柳福祉総務課長 相対的貧困率は、可処分所得など経済的な観点から算出されており、対策としては経済情勢や雇用関係の改善、それらにかかわる手当制度などの経済的な支援が重要だが、まずは国レベルでの議論、制度設計が非常に大きいと考えている。本市の現状の取り組みだが、既に庁内各課で利用料金等の減免制度や金銭的な助成制度などを設けていることから、新たな制度の創出にとらわれずにそれらの制度等をうまく活用して子どもたちの支援にきちんとつなげていくことが大事だと考えている。
 対策チームの目的だが、まずは部局を超えて子どもの貧困についてきちんとした認識を持つことが重要であり、ただ単に貧しいという認識だけでなく、そういう状況の中で子どもたちがどういう状況なのか、何が必要なのかを把握していきたい。また、子どもの貧困対策においては、経済的な支援だけでなく貧困の世代間連鎖を食いとめることが重要であり、子ども自身の発達を保障する視点が必要だと考えている。そのための学習支援や健康増進の取り組みを進めるほか、学校や保育の現場の方に貧困をきちんと認識してもらい適切な対応をとってもらうことや、保護者の障害による貧困という場合もあり、これに対する支援も考えられる。これらの支援については、国ではなく市町村ならではの支援が可能との考えから対策チームを構成している。

◆広田美代委員 貧困の世代間連鎖を断ち切ることは非常に重要であり、貧困状態から救うのはもちろんだが、先を見据えて同じ状況をつくらないということを国、地方挙げて取り組むべきである。答弁では、経済的支援については国レベルでの制度設計などが非常に重要とのことだが、本市でも例えば都市部で保育園や学童保育が足りない、また保育士の処遇がまだまだ不安定ということもあるので、これらの状況を子どもの貧困対策に結びつけて議論してもらいたいし、ぜひ国に対してしっかり予算を求めていってもらいたい。
 一方で、本市独自の対策として、児童扶養手当を本当に受けているのか、また就学援助制度を知っているかなどの現状把握が大切である。例えばマイナンバー制度の開始に際して、マイナンバーカードがないと就学援助を受けられないと勘違いして申請しなかった人がいると聞いているので、支援を受けるべき人が漏れている実態については、制度を着実に使うという観点から調べていくことが大事である。国の子どもの貧困対策については、奨学金の問題は棚上げ状態にしたまま、対策についても新たな施策を創設するのでなく集めた基金でNPOに手を挙げてもらって何かやってもらうという程度であり、余り本質的な対策にはならないと思っているので、一番市民に身近な自治体として着実に具体的に対策を行ってもらいたい。
 田中委員も指摘したが、今後、子どもの貧困対策に係る制度を活用し切る上で重要なのは、やはり実態を知ることである。国の法律では貧困の基本概念が定義されていない中にあっても、まずは本市独自の貧困の姿や問題点をつかむことが大前提である。そのための実態調査が必要だと思うが、どうか。

◎高柳福祉総務課長 今年度、新たなひとり親家庭等自立促進計画を立てることとしており、そのためのアンケート調査を実施したところ、ひとり親家庭の半分以上が貧困状態にあるとの統計が出ている。そのアンケート調査での意見などから本市における貧困の実態を捉えることが可能ではないかと考えている。また、相対的貧困率など統計的な数字も大切だが、まず個々の家庭がどのようなことに困っているのかなどを肌で感じることが必要と考えている。対策チームには、さまざまな家庭や子どもの状況を現場で知っている児童相談所及び福祉健康センターが入っていることから、現場の経験なども十分に活用して、実態を把握したいと考えており、改めて実態調査を行うことは考えていない。

◆広田美代委員 さまざまな意見を参考に議論してもらいたいが、足立区や横浜市などでは独自に調査も行っていることから、金沢市特有の問題というのもあるのでぜひ実態調査を行ってほしい。今回、ひとり親家庭の実態調査を行った意義は大きいと思っており、アンケートの結果などを見たが、一番注目すべきは日中忙しくて相談に行くことができないひとり親家庭の声が伝わったことである。夜間の窓口を開いてほしいなどの要望もあり、やはりアンケートでないと届かない声もあると気づいたので、ぜひ全世帯を対象にして声を聞き取る姿勢を見せてほしい。
 ひとり親家庭の実態について聞く。国の調査では、全体の貧困率16.3%に対してひとり親家庭の貧困率は54.6%と本当に深刻な状況である。本市のひとり親家庭のアンケート調査の中でも、生活費が不足しているというそもそもの問題のほか、父子家庭への制度周知が不足している、児童扶養手当を受けていないなどの意見があった。アンケート結果から見えるひとり親家庭の状況について、どう捉えているのか。

◎高柳福祉総務課長 ひとり親家庭へのアンケート調査だが、保護者が両親でなく父または母のみで20歳未満の子どものいる世帯4,000件を抽出し、1,000件ほどの世帯から郵送で回答があった。調査内容は、ひとり親の就業や子育て、生計などの状況のほか、行政に対する要望である。
 ひとり親家庭の状況について、就労率は全国平均に比べ非常に高いが、5年前に第2期ひとり親家庭等自立促進計画を策定した際の調査に比べて、就労の形態として若干正規雇用が減り、就労による収入も減少している。また、1カ月の生活費が収入を上回る赤字の状況も見られ、経済的には非常に厳しい状況である。そのほか、今回は保護者の学歴と収入の関係についても調査したが、全国の調査結果と同じように、保護者が高学歴なほど収入が多く、また子どもも高学歴になる傾向が見られた。子育て支援に関する要望では、やはり養育費用や経済的な費用への支援の充実のほか、医療費助成のさらなる充実の割合が高くなっている。また、父子家庭については、支援制度を知らないとの回答が非常に多く、周知が足りていないと考えている。

◆広田美代委員 ひとり親家庭の経済状況や就労状況は、今の日本の格差と貧困の姿が凝縮されている。1カ月の収入については、就労や児童扶養手当などを合わせて15万円から20万円という層が一番多く、その中で少なくとも子ども1人を養っていくというのは本当に大変だと思う。アンケートの中では、支援制度を知らない、相談に行く暇がない、保育料が高い、給付型の奨学金が欲しい、市営住宅になかなか入れない、町会費が高いなどの意見や要望があり、本市の実情をよく反映していたと思うので、ぜひこの資料を対策チームのメンバーにも目を通してもらいたい。また、貧困対策チームとして、改めて実態調査してもらいたいが、どうか。

◎高柳福祉総務課長 このアンケートで、一般の子どもの貧困状況が統計的にわかったわけではないが、ひとり親家庭へのアンケート調査の中で出されたさまざまな要望等を通しても十分に実態を知ることができると考えている。実態調査については、今年度、ほかの市でも実施すると聞いていることから、調査の技術的な手法も含め注視していきたい。

◆広田美代委員 沖縄県では、全世帯ではなく対象を小学校3年生や5年生などと絞って調査しているので、そのような手法も検討してもらいたい。
 次に、金沢市女性活躍促進モデル企業でのひとり親家庭の支援について聞く。選定された企業の主な取り組みの中に、ひとり親家庭の母親でも正社員で働ける、雇用するなどの項目はあるのか。

◎東田人権女性政策推進課長 今回、金沢市女性活躍促進モデル企業として選定した4社については、女性活躍の選定条件として、採用枠の職域の拡大のほか、長期雇用継続、管理職登用率の向上の3点を主に掲げている。派遣やパート従業員については、正社員への転換やキャリアルートを確立し、専門職での登用、資格手当を含めた給与体系の見直しなどの等級要件の明文化を掲げた企業もある。

◆広田美代委員 ひとり親家庭の女性のみを対象とした取り組みを行うのはまだ難しいと思う。先ほどのひとり親家庭へのアンケートの中では、ひとり親家庭の女性に対する就労先の理解や協力がないとの声が本当に多かった。少し紹介すると、子どもを預ける場所があってもひとり親だと面接すら受けさせてもらえない、いつも面接で子どもが病気になったらどうせ休むのではなどと心ないことを言われる、勤め出したら普通の人と同じように働いてほしいなどの辛辣な言葉を言われたなどの実態がわかった。男女雇用機会均等法や女性の差別撤廃などが世界中で叫ばれており、日本でもハローワークで男女不問とか、ひとり親でも頑張れますなどと書かれていても、実際に面接に行ったら、その場でシャットアウトというのが少なくない。ぜひ金沢市も企業に補助金を出して応援するのであれば、この辺も視野に入れて働きかけてもらいたいが、どうか。

◎東田人権女性政策推進課長 委員指摘のように、ひとり親家庭に対する理解がなかなか浸透しないと聞いている。本市としては、女性活躍促進の取り組み、選定条件の中で企業の就労規則など雇用面のあるべき姿について、労働政策課等とも連携しながら取り組んでいきたい。今後、一般事業主行動計画等によるワーク・ライフ・バランス、女性活躍推進に関する支援措置のほか、今回モデル企業となった4社に対しても委員指摘の点での支援についても働きかけていきたい。

◆広田美代委員 貧困対策チームですごいのが、局を超えて組織している点である。経済局の労働政策課や都市整備局の市営住宅課、教育委員会などと連携して、女性活躍促進モデル企業の支援をお願いする。
 プロスポーツチームと連携した受動喫煙防止について聞く。受動喫煙防止については、国も進めているし、本市もぽい捨て等防止条例等で取り組んでいる、今回、改めてプロスポーツチームと連携した理由は何か。

◎山森健康政策課長 プロスポーツチームの試合やイベントは青少年とその保護者、また少年チームの指導者が多く集まる機会であり、その際に啓発活動を行うことで、子どものころからたばこの害について知ってもらうほか、大人にも受動喫煙による影響を認識してもらえるなどの効果が期待できると考えている。

◆広田美代委員 子どものころから啓発するのはとても大切である。しかし、幾ら啓発活動だけやっても、環境や条件が整っていかなければ難しいと思う。今回、この啓発活動を行う西部緑地公園陸上競技場と県立野球場の喫煙環境だが、建物内に喫煙所があり休憩の際に容易に子どもたちが暴露していると聞いた。きのう確認してきたが、西部緑地公園陸上競技場では、正面入り口の外にJTから寄贈されたと思われる筒型の吸い殻入れが1つあった。係の人に聞いたら、施設としていつも置いているわけでなく、あくまでも試合の主催者の判断に任せているとのことだった。ちなみにツエーゲン金沢の試合のときは、ツエーゲン側で自前の吸い殻入れを正面入り口付近に二、三カ所ほど設置するとも聞いた。次に、県立野球場では、大きい吸い殻入れが正面入り口付近に2カ所あったほか、2階へ上がると20カ所も吸い殻入れが設置してあり、本当にびっくりした。中央売店やベンチの近くにもあり、自販機や売店に来る人は簡単に暴露する状況で、受動喫煙防止の努力は見られなかった。今回、6月4日及び8月5日にそれぞれ啓発イベントを行うとのことだが、その際の会場の受動喫煙防止対策について聞く。

◎山森健康政策課長 全ての施設で環境が整っていないことは承知している。健康増進法では多くの人が集まる施設の管理者に受動喫煙の防止を図る努力が義務づけられており、野球場や競技場などは特に青少年が多く利用する施設であることから、施設管理者に受動喫煙を防止できないか改善をお願いしていきたい。また、イベント主催者の協力についてもあわせてお願いしていきたい。

◆広田美代委員 たばこを吸うなという議論ではなく、吸わない人が受動喫煙しない環境をどうつくるかが課題である。施設管理者の努力義務、責任であることからすると、西部緑地公園陸上競技場でツエーゲン側の判断に任せるというのは、そもそも誤りだと思うので、施設管理者が徹底するよう県にも求めてもらいたい。また、県立野球場では、ことしから吸い殻入れを1塁側と3塁側の端のほうに固めて置くと言っていたので、その辺も確認してもらいたい。本市が管理する市民野球場についても調査してきたが、計6カ所で常時吸い殻入れが置いてあり、1階の正面入り口付近に2カ所、上へ上ってスタンドから出たベランダのホーム側に2カ所、1塁側と3塁側に1カ所ずつ設置されていた。容易に暴露する状況なので、スポーツ振興課とも連携しながら、健康増進という立場で対策を行ってほしいが、どうか。

◎山森健康政策課長 市のスポーツ施設等については、スポーツ振興課とも協議しながら環境の改善に努めていきたい。

◆広田美代委員 これから試合の多いシーズンに入るので、早急に対応をお願いする。ぽい捨て等防止条例を制定している本市としては、力を尽くしてもらいたい。
 ポイ捨て防止については、女性の啓発指導員を配置するなど、コミュニケーションしやすい環境を整えていると思っている。今年度の受動喫煙対策やポイ捨て防止への意気込みを聞く。

◎東市民協働推進課長 委員指摘の女性啓発指導員は臨時職員で、1年交代となるが、女性という観点で少しやわらかい雰囲気になるなどの効果を狙っている。また、啓発指導員のジャンパーなども古くなってきており、今年度更新する際には、少しでもイメージがよくなるように工夫したい。
 施設等での受動喫煙防止対策については、基本的には管理者の権限になるが、周辺環境に影響がある場合は、今後も協力をお願いしていきたい。例えば駅前のヴィサージュの敷地内に、大通りに面して灰皿があったが、ぽい捨て等防止重点区域内でもあることから、市街地再生課と相談してヴィサージュの管理組合に協力を依頼し、撤去してもらっている。このような事例があれば、個別に対処できないか検討していきたい。

◆広田美代委員 障害福祉事業者の不正請求について聞く。この案件は、やはり福祉をもうけの食い物にするひどいやり方である。今も捜査が続いているとのことで、本市としては、利用者へ支援と再発防止、信頼回復に全力を挙げてもらいたい。
 報告にあった再発防止策中、全ての地域活動支援センターの給付費請求に係るチェックだが、なぜ4月分だけをチェックするのか。その後は、数カ月のサンプル調査のみを行うとのことだが、これで信頼回復ができると考えているのか。

◎岩野障害福祉課長 今回の事案については、不正の期間が継続していたことから、サンプル調査を実施して、その結果を検証していきたいと考えている。

◆広田美代委員 継続せずに不正請求を行った場合は、このサンプリング調査で見抜くことができるか疑問が残る。市民からの信頼を回復させるという観点で臨むのであれば、せめて1年間はさかのぼって調査すべきではないか。

◎太田福祉局長 本市としては、4月分の請求を重視している。これは事件が発覚した5月中旬には、各事業者から4月分の請求が提出されており、事業者が手を加えて直すことができない点にある。また、事件発覚前の3月27日に、他の全ての事業者を集めて集団指導を行った際に、請求に添付する書類の様式を4月請求分から変更する旨の連絡をしている。変更後の様式は、電算によるチェックが可能な様式であり、電算システムを早急に開発し、事件発覚前の各事業者から出てきた請求分をチェックすることが最重要事項だと考えている。そこで、万が一疑義が生じた場合、当然このチェックだけでは済まないと考えている。また、ふだんは3月の下旬に集団指導をしていないので、仮に集団指導をすることを不審に思い、4月請求分では不正請求しないでおくなどの可能性も考えられるので、そういう意味では、4月請求分だけのチェックでは不十分という指摘はもっともである。今後、3月以前の請求分もチェックしていくことにもなるが、データ化されておらず、職員が一件一件、電算システムに対応したデータをつくるところから始めなければならないので、日々の業務をこなしながらはなかなか難しいことを理解してほしい。当面は2カ月分あるいは3カ月分をめどに作業していくと思うが、その中で万が一疑義が生じれば、当然全事業者を対象に、順々にさかのぼっていくということになり、結果的に委員が指摘したように1年あるいはそれ以上の期間の請求分を調査する可能性はある。ただ、今回の事件は、継続的に常態化して不正に請求して、結果として多額の金額に上ったことから、そのような事案がないかをまずは数カ月の請求分で見つけられないかと考えている。

◆広田美代委員 本来はやるべきだと思いながら、結局はマンパワーが足りずにできないと言っているようにしか聞こえない。人手をふやせといっても大変だと思うが、本当に事件が発覚してからいろいろなところに影響を与えているし、利用者を含め市民の怒りや不信の声が、事業者だけでなく市役所にも向いている。ここで誠実な対応をしなければ、事業者からもサンプル調査なら逃れられると思われる。ぜひ、マンパワーをふやしてでも調査してもらいたいが、どうか。

◎太田福祉局長 過去数年分にわたって調査するには、当然マンパワーが必要である。まずは、数カ月分のサンプリング調査を行い、その中で疑義が生じれば、当然過去にさかのぼって調査するつもりだが、最初から例えば過去1年分、過去5年分ということは現時点で明言できない。全てを調査するよりも、今回の事件の性格を考慮して、まずは4月請求分、それからサンプリングでの数カ月分を調査したい。その上で必要があれば、さらに過去にさかのぼった調査が生じると思っている。

◆広田美代委員 返還請求できる期間は5年だと聞いているが、創裕会からの請求分は5年間調査しているのか。

◎太田福祉局長 容疑のある事業所については、現在、平成26年度及び平成27年に係る請求分から被害額を算定している。それ以前の請求分については、捜査とあわせて引き続き調査していきたい。

◆広田美代委員 では、創裕会の5年間の請求分についても調べていないということか。

◎太田福祉局長 創裕会は、平成18年から事業を行っているが、過去5年間の請求分を本市としてつかんでいるわけではない。ただ、平成26年度からの1年半強の請求分を見ると、過去にもそういった不正請求があったことが当然類推されるので、警察の捜査とあわせてしっかり対応していきたい。

◆広田美代委員 創裕会の請求分については、5年間分を早く調べてほしいというのが市民の声だと思う。ほかの事業所についてもマンパワーの不足など理由があるのかもしれないが、ここで市民の信頼を回復しなければならないと思うので、ぜひさかのぼって5年間分をサンプルではなく調査してもらいたい。
 食中毒について聞く。報告では、事件数が9件、患者数302名で、前年度に比べるとすごくふえた印象がある。この間、北陸新幹線開業によって観光客がふえて、店の実情や客の入りぐあいも変わってきていると思うが、観光客の増加が食中毒の発生に影響しているのか。

◎堂村衛生指導課長 昨年度の食中毒の主な発生原因だが、調理従事者自身の健康管理に関する認識不足のほか、調理施設における衛生管理面での清掃や消毒の不足、食品の不適切な取り扱いなどが主な原因である。

◆広田美代委員 観光客増加によって発生件数に変化はあったのか。

◎堂村衛生指導課長 発生原因からは、観光客の増加が影響しているとは特定できない。

◆広田美代委員 観光客の増加と食中毒の発生件数の増減の関係は分析できないということか。

◎堂村衛生指導課長 現時点では、そのような分析はできない。

◆広田美代委員 データを何年間か積み上げて、ぜひ細かく分析してほしい。新幹線の開業によって、客がふえて既存店が忙しくなったり、新たに店舗ができたりして、食中毒のリスクが高まっていることは容易に想像できる。アルバイトもいないような居酒屋などで、人手不足によって、ノロウィルスに感染しているような場合でも休めないような状況があるのではと心配しているが、そのような事情は把握しているのか。

◎越田保健局長 観光客がふえていることは間違いない事実であるが、だからといって食中毒がふえたと軽々に断定することはできないし、してはいけないと考えている。新幹線開業以後、恒常的に食中毒が発生していれば、その関連は推測できるが、昨年度の食中毒は、ことしの2月、3月に集中していることから、何かほかに原因があるのかもしれない。委員指摘のように、確かに人手不足などの要因もあると思うが、昨年度、条例も制定しているので、食の安全確保のためにしっかりと指導していきたい。

◆広田美代委員 観光客の増加によって食中毒がふえたと断定できないとのことだが、観光地特有の視点で今後とも指導などをしてもらいたい。

◆松村理治委員 障害福祉事業者の不正請求について、再発防止のコンプライアンス体制を新たに構築したと市長の定例会見などで報告を受けた。今後、市内の地域活動支援センターの14事業者に対して、適正に管理、指導等が行き渡ると思っている。広田委員も指摘したが、やはりあってはならないことが起きたことは事実として、重く受けとめなければいけない。単に不正請求があって、調べたら1,000万円近くだったという一過性の事件で終わらすことのないよう管理監督する立場の行政として、障害者施設や介護施設等に入所している方々の本当の思いに応えてもらいたい。施設に入所して日々頑張っている方に対して行政がしっかり支援、サポートし、きちんと管理するという根本的な指導体制を再構築すべきだと思っている。再発防止として、新たに情報システムを構築して不正を発見しやすくするのは当然の対応だと思うが、この対策は障害福祉課の職員だけで実施できるものなのか。

◎太田福祉局長 障害福祉施設へのチェックなので、一義的には所管の障害福祉課が行うこととなる。その上で万が一のことがあれば、次は福祉局の中での応援体制も含めて対応していくこととなる。誤解のないように言っておくが、請求分のチェックを2カ月分だけ、もしくは3カ月分だけやると言い切るつもりは全くない。まずは4月請求分の調査を行い、何かあれば当然さかのぼって調査することとなる。今回、事件が起こってしまったが、基本的には福祉事業に従事されている方は善良な方が多いと思っているので、全てを頭から疑ってかかるわけでなく、確認のために調査を始めたいと考えている。場合によってはずっとさかのぼって調査することもあるが、マンパワーが足りないなどの課題もあることから、まずは電算化してチェックを行い、次はできる範囲でサンプリング調査をし、それでも足りない場合には福祉局を挙げた体制で臨んでいきたい。

◆松村理治委員 局長の模範的な答弁である。今回の不正は、地域活動支援センターで起きたが、本市には介護施設も相当数ある。私は、ある介護施設の従業員から、職員の配置や給与体制について、理事長の不正と言えるような状況を聞いており、でたらめな状況で運営するような事業者に許可を与えた金沢市は何を考えているのだと言われた。このように第2、第3の不正の実態を聞くと、局長の認識はやはり甘いと言える。適正な事業者が適正にやっていると私も信じたいが、現実問題として、許可を与えてしまった後は、チェック機能がなかなか働かない。チェック機能については、市の職員だけでは対応できないと思うので、別の外部監査委員会などが大きなグループホームから小さな介護施設まで全てにチェック機能を発揮していかねばならない。今回の事件を発端に、大なり小なり不正とまで言えるかわからない事案を聞き、そういった運営がされている実態を知った。今後、福祉や介護、医療に関する事業に対してのチェック体制を再構築すべきと考える。
 高齢者介護施設について、ことしも幾つかの箇所で公募すると聞いているが、例えば福祉事業を運営している企業が、新たな施設の従業員もいないのに応募するなど、審査をばかにしているような事案を聞いている。また、前にも言ったが、資格審査等の決定については、審査するメンバーの中で暗黙の了解で決められているのではないかと言う人もいる。これらの事案は、非常にゆゆしきことであり、まさしく福祉事業を食い物にしている。今年度の介護施設の公募について、詳細を聞く。

◎高村介護保険課長 今年度、公募に係る介護施設は、グループホーム、地域密着型特別養護老人ホーム、ケアハウスである。また、介護施設等の事業者選考について、委員が平成22年にも選考の結果がわかるよう見直すべきではないかと指摘していることも理解している。委員指摘の事項については、その後の介護保険事業計画から見直しを進めている。まず公募の仕方については、説明会に審査項目等のほか、基準や点数も全て公開している。審査により、どうしても選定されない事業者が出てくるが、その際は、事業者に審査項目での優劣など審査結果を詳細に説明している。また、審査時のサービス内容と実際のサービス内容に差が生じているとの指摘だが、そういったことがないように審査委員の中に介護保険運営協議会の方が入ってもらい、指定にもかかわるよう変更している。さらに、新たに指定された事業者については、指定後しばらくしてから現地を見に行く体制をとっている。
 今年度の公募に係る選考についてだが、9月末から10月上旬までに選考することとしており、その結果については当委員会に報告したい。委員指摘の点も踏まえて選考していくが、課題等が見つかれば、次期の介護保険事業計画で変更することも可能なので、絶えず他都市の状況も見ながら改善すべきところはしていきたいと考えている。

◆松村理治委員 さらに慎重に審査するとのことだが、審査に係る書類については、経営者や理事長が作成するわけではなく、専門機関に全部つくらせて適正なすばらしい申請書が出てくることとなる。しかし、実態はひどい経営内容であったりして、絶対に許可を与えないでほしいという申し入れまでされている。そのような事業者に許可を与えたら、そこに入る人が大変で、働く従業員もないがしろにされると聞いた。その事業者は応募する予定で、あたかも許可をもらえるようなことを言っているらしいので、口では厳正に審査すると言うけれど、現実問題として、こういう仕事で銭もうけしようとする方がいることを把握してほしい。審査機関では、本当に公正公平な形で、色分けなく厳重に審査してもらいたいし、そうしなければ今回の不正請求のような事案が起きてしまうと懸念しているが、その辺の認識を局長に聞く。

◎太田福祉局長 どこの事業者かはわからないが、不正はもちろん過去に不適切な事案があった事業者、指導が入るような事案があった事業者については、応募の状況を見て入念にチェックしていきたい。直接その事業者を是か非かと判断する立場ではないが、お金のためにという思いで事業を始めているとすれば、将来的に同じような不正あるいは不適切な運営をする可能性も当然あるので、それを未然に防ぐという観点で今後の改善策も含めて対応していきたい。

◆松村理治委員 局長の思いはわかった。介護施設等の管理について、どのような指導監督を行っているのか。

◎太田福祉局長 介護施設等については、国が定めた基準に沿って福祉指導監査課と介護保険課の職員が合同で定期的な実地指導を行っている。通常の実地指導では、今回の障害福祉事業者の不正請求のように、ほかの事業者からの請求等と比べることはしないが、サービスの提供体制や介護報酬に関する厳しい基準が定められており、1項目ごとに全て確認している。その結果については、程度により文書での注意、報告を求める注意があり、極めて重大な基準違反等が発見されれば実地指導を越えて監査する段階に移っていく。既に介護施設等については、このような指導監督体制がとられているが、それで万全かと言われると、全ての施設を毎年回っているわけでもない。このような実情もあるので、これまで以上に効率的に回っていくほか、今回の事案を踏まえて確認の内容についても、単に聞き取りだけでなく、経営者の思いを尋ねるなどして、金沢市として今後不正は一切見逃さない、許さないということをそれぞれの事業者に伝えていきたい。

◆下沢広伸委員 女性活躍促進モデル企業について聞く。ことしモデル企業として4社選定したとのことだが、この4社以外にも応募してきた企業はあったのか。

◎東田人権女性政策推進課長 女性活躍促進モデル企業だが、平成26年度に参加した企業17社のうち、2年目に継続した企業が6社あった。さらに、その中で継続的に取り組みたいと申し出た企業が今回選定した4社である。この4社については、審査として外部選考委員の方に評価してもらい、きのう認定証を交付した。

◆下沢広伸委員 今回選定した4社については、これまでも本市の女性活躍促進に係る事業に参加してきており、今後、この4社以外は出てこない可能性がある。平成26年度からの2年間でステップアップしてきた経緯からすると、今回の事業は単年度で終わることになるのではないか。

◎東田人権女性政策推進課長 平成25年から当該事業を開始しており、2年間にわたってプロジェクト事業のセミナーやワークショップなどに参加した企業を3年目に選定する流れを構築している。平成25年度に参加した企業4社は、昨年度に3年目を迎えたことからモデル企業として選定している。ことしは平成26年度から事業に参加した企業4社が、3年目を迎えたことから選定に至ったものである。来年度については、平成27年度から参加した企業5社ほどの選定を見込んでいる。選定を受けた企業は、2年間のインセンティブ補助金の対象期間となり、通算4年間にわたる本市の事業参加及び支援による職場環境の改善、人材育成が図られると考えている。

◆下沢広伸委員 確かに当初予算を見ると、女性活躍促進プロジェクト推進費も計上されており、今年度もモデル企業を選定して事業を進めていくことになるが、この事業は重点戦略計画にも位置づけられているので、長期的な視点も必要になると考えている。また、この2年間で選定した企業がどれだけの結果を残しているのか、各企業によって取り組みが違うので、おそらくマル・バツという形では評価できないと思うが、今後どのような視点で結果等を評価していくのか。

◎東田人権女性政策推進課長 女性活躍促進プロジェクト事業は、昨年度の第3期をもって一旦見直しをかけ、今年度は金沢女性活躍加速化プロジェクトとした。これまで選定を受ける企業が少なかったので、今年度からは業界団体に働きかけ、業界全体で女性の活躍を促進していくように参加要請を進めている。女性の活躍促進について、業界全体で同じ課題を抱えている場合が多いので、その業界にとってどのような施策、取り組みが必要かを考えていきたい。また、女性の活躍を促進する企業では、潜在能力を掘り起こすなど経営戦略としても捉えていることを広めていきたい。

◆下沢広伸委員 女性の活躍促進と言いながらも男性も活躍しなければならないとも思うので、男女で協力していくべきだと考えている。
 次に、プロスポーツと連携した受動喫煙防止対策について聞く。今回、試合の際にクリアファイルを配布するとのことだが、いつ配る予定なのか。

◎山森健康政策課長 クリアファイルについては、入場の際にチラシとセットで配布することとしている。

◆下沢広伸委員 スポーツを観戦しに行く方に対しては、スポーツに関するグッズなどがよかったのではと個人的には思う。クリアファイルにプロスポーツチームのロゴを入れて啓発につなげようとするものだが、受動喫煙防止の新たな普及啓発活動とするならば、あえてスポーツに特化しなくてもよかったのではないか。大規模な普及啓発活動も必要だと思うが、その他の活動状況を聞く。

◎山森健康政策課長 受動喫煙防止の啓発については、市民向けには禁煙週間の広報などを行っている。また、福祉健康センターでは受動喫煙防止のコーナーを設置して来庁者に対する普及啓発をしている。このほか、保健所では定期的に飲食店の管理者向けに講習会を行っている。今回作成したロゴ入りのクリアファイルについては、試合後も子どもたちが学校などの場で使用して受動喫煙防止の普及ができると考えたものである。

◆下沢広伸委員 常日ごろから目にするものをつくることで、普及活動ができるという点は理解できる。毎年同じような活動を続けることも大事だし、新たな取り組みも必要だと思うので、さまざまな意見を聞きながら普及啓発活動を進めてほしい。

◆小阪栄進委員 たばこの害--喫煙の健康被害については、かなり広く普及していると思うが、受動喫煙の健康被害への認識については、本市もまだまだ低いと思っている。たばこを吸わない人にとって、マナーの領域を超えて、何でこんな目に遭わなければいけないのかと思う場面に出くわすことがあるので、ぜひ対策を進めてもらいたい。今回、子どもたちの来場も多いプロスポーツチームの試合を利用するのは非常によいことであり、今後もいろいろ工夫していってほしい。喫煙に関しては、大人の意識はなかなか変わらないが、子どもの意識は教育によって大きく変わるので、福祉、保健の分野だけでなく、教育委員会と連携して、小中学校の教育の場で受動喫煙に関する教育をしてもらいたいが、どうか。

◎山森健康政策課長 学校現場での受動喫煙、また禁煙の教育だが、金沢市教育委員会が親子で学ぶ受動喫煙防止講座を4年前から開催している。金沢市医師会に所属する医師や薬剤師が各学校に足を運び、たばこは一度吸うとなかなかやめられない、副流煙のほうが主流煙よりも害が多いなどの内容をわかりやすく教えており、各学校で必ず1回開催してもらうことを目標にしている。また、禁煙フォーラムの開催のほか、医師会とも協力しながら、子ども向けの指導だけでなく、妊婦についても母子手帳交付時に指導するなど受動喫煙やたばこの害についての啓発を進めていきたいと考えている。

◎越田保健局長 この間、さまざまな形で禁煙あるいは分煙のメッセージを発信しているが、金沢市のプロスポーツチームに登場してもらうことで、新しい切り口、新しい発想でメッセージを発信していきたいと考えている。いい意味でのロールモデルとして、たばこを吸わないのは格好いいということが一人でも多くの子どもたちに伝わればよいと思う。ただし、たばこを吸う方を責めるつもりは全くなく、吸うことのできる環境をきちんとアナウンスすることも大事だと思っている。広田委員が指摘したように、まだまだ環境整備が至っていない点もあるので、さまざまな取り組みを通して、この活動を継続していきたい。また、教育委員会との連携も進めていきたい。

◆熊野盛夫委員 子どもの貧困対策について、庁内にこのような対策チームができたことはすばらしいと思う。このような行政の動きだけでなく、民間でも子どもの貧困に対して何かしようとの動きが出てきている。特に豊島区の子ども食堂が注目されたが、この取り組みは、家でしっかりとした御飯が食べられない子どもたちに対して、NPO法人プレーパークが食事を提供するものである。そのきっかけは、ただ遊びに来ている子どもとNPOの大人が仲よくなって、あるときに高校進学の話をしていてこの取り組みにつながったと聞いている。本市ではひとり親家庭に対してアンケート調査をしたとのことで、それも非常にいいことだとは思うが、親の視点が中心で、子どもたち自身の思いを拾っていくことが次に大事になってくると思う。子ども食堂は、全国的にすごい勢いで広がっており、本市でもやってみたいと話している方もいるし、全国には国の基金を利用して子ども食堂を運営しているところもある。本市では、子ども食堂に関する問い合わせ等について、どこの課が対応するのか。

◎高柳福祉総務課長 さきの3月定例月議会でも子どもの貧困対策に関する部署はどこかとの質問があり、そのあたりが明確になっていないという弱みがあったと認識している。今回、横断的な対策チームをつくったが、ひとり親家庭を所管し、対象の方と一番接する機会が多い福祉総務課が中心となることとなった。民間の方からの問い合わせなどへの対応窓口については、今後、市としてもどう連携していくことができるかも整理しながら検討していくこととなる。現時点では、対策チームを福祉総務課が所管していることから、とりあえず市役所の話を聞きたいという場合は、福祉総務課を訪ねてもらい、具体的な内容によってはほかの課に案内するなどの対応をとりたい。委員指摘の子ども食堂に関する動きも当然注視していきたいと考えているが、児童館や児童クラブ、保育所、幼稚園、学校、子育てサロンなど地域でそれぞれ活動している団体などの方でこの問題に興味がある場合は、どのような形になるかはわからないが、その思いをしっかりと受けとめて連携していきたい。

◆熊野盛夫委員 食べ物を共有するというのは非常に大事なことである。食べ物は、愛情の象徴的なものであり、貧困世帯の子どもはどうしても親と触れ合う時間が少なくなるので、愛情を持った人たちと触れ合うことは、後の人生でもプラスになると思うので、行政としても支援をお願いする。
 障害福祉事業者の不正請求について聞く。松村委員からも指摘があったが、一番大事なのは施設を利用する市民が気持ちよく利用できること、そして働く職員が気持ちよく仕事できることだと思う。行政とのやりとりは、施設長や窓口の特定の方だけになってしまいがちだが、できれば施設利用者に対して、あるいは施設の職員に対して、アンケートなどで広い意味での施設の環境を調査してはどうか。行政がそのようなアンケートを実施することで、施設の管理者も身が引き締まり、環境の改善に結びつくと思うが、どうか。

◎岩野障害福祉課長 今年度、次期障害福祉計画を策定するため、障害のある方にアンケート調査を実施する予定であり、自由記載欄もあるが、委員指摘の視点も盛り込めないか検討してみたい。

◆熊野盛夫委員 ぜひ検討を進めてほしい。

△[その他に対する質問応答] 
 なし

△[委員会視察について] 
 今年度の委員会視察について、7月26日(火)に宮城県仙台市、同月27日(水)に北海道苫小牧市、同月28日(木)に北海道札幌市を視察することに決定。
                                 以上

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