ブログみよみよ日記

東部環境エネルギーセンターの建設費とごみ量のからくり

カテゴリー:

先日の9月議会で、東部環境エネルギーセンターの建て替えについて、ごみの減量化で建設費用を減らすことができるという旨の答弁がありました。

そのことについて、すでに、本会議や委員会で議論がされているのでまずはこちらをお読みください。

 

平成29年 3月定例月議会

山野市長答弁(抜粋)

家庭ごみの有料化をやめるべきではないかという御提案をいただきました。これまでも何度か申し上げておりますけれども、この時期に議案を提出いたしましたのは、何といっても東部環境エネルギーセンターの建てかえのことがあります。議会の皆さんの御理解をいただきまして、基幹的改良工事を行うことによって、平成39年度までもたせることができるような手だてをとっているところではありますけれども、物が物ですから、建築期間だけではなくて環境アセスの期間ということも考えていかなければなりません。場所をどこにするのか、どういう規模にするのか、平成32年度から環境アセスの調査をしていかなければいけない時期であります。当然、規模もそうであります。全国の先行自治体では、家庭ごみの有料化を始めてから5年後ですけれども14~15%減っているということもあります。仮にその数値を当てはめるとするならば、東部環境エネルギーセンターは20億円から30億円を節約できるのではないかというふうに思っています。さまざまな研究資料を拝見いたしましても、全国の自治体で有料化に取り組むきっかけは、最終処分場であったり、今回の金沢市のような中間処理施設の建て替えに併せて判断をするところが多いというふうにお聞きしております。金沢市もこの時期に御提案をさせていただいて対応することが、東部環境エネルギーセンターをよりコンパクトなものにして、そしてそこで市民の税金も節約することができますし、維持管理費、ランニングコストの節約にもつながっていくことでもあります。これをこのまま見過ごして、20億円30億円という、私は大変大きな金額だと思っていますけれども、そのまま建てかえるのではなくて、やはり市民の皆さんの御理解をいただけるように取り組んでいかなければいけないというふうに思っているところであります。将来世代の負担の軽減のために、また、将来世代へ少しでも良好な環境を残していきたい、そういう思いから今回は提案をさせていただいているところであります。

 

これに対し、具体的な建設費を委員会で質問しました。下記が記録です。

平成29年  5月 経済環境常任委員会

経済環境常任委員会記録

1 開会日時     平成29年5月1日(月)

2 開議時間     開会 午後1時~閉会 午後3時39分

3 場所       第2委員会室

4 出席委員(7名) 高  誠委員長、松井 隆副委員長、

           広田美代、野本正人、小林 誠、松井純一、

           横越 徹の各委員

(抜粋部分)

 

 

 

【東部環境エネルギーセンター建設費について】

 

◆広田美代委員 有料化のことが初めて載るこのパンフレットだが、第5期のごみ処理基本計画の前の第4期計画の結果分析では、ごみの減量化は予定どおり進んだと皆さんが評価しているし、議会で市長も、市民の努力で減ってきた、家庭ごみはふえていないと言っていることもあり、今さら横ばいと言ってこのように市民のモチベーションを下げるような文章を書く必要はないと思う。私は(2)の削除を求めるし、市民の意見も大事に受けとめて考えてほしい。

 

 (4)について、ごみを有料化することで東部環境エネルギーセンターを新しく建て直すときに二、三十億円建設費が減るということを、市長は3月定例月議会から言っているが、数値的な根拠を示してほしい。

 

◎桑原環境政策課長 東部環境エネルギーセンターは1日当たり250トン処理する能力を持っている。現在、日本でごみ焼却炉をつくった場合、1日当たりの処理量1トン当たりの建設費の相場は約7,000万円とされており、250トン掛ける7,000万円で約175億円となる。燃えるごみが約14%減少すると仮定すれば、250トンではなく215トンの処理能力で済むので、7,000万円を掛ければ約150億円となり、175億円から150億円を差し引いた25億円程度が削減できるものと考えている。

 

◆広田美代委員 平成24年に金沢市が建てた最新の焼却施設である西部環境エネルギーセンターの建設費が132億5,337万円である。処理能力が1日当たり340トンであり、割り返せば約3,900万円となるが、先ほどの単価は7,000万円との説明であった。素人ではあるが、大きく隔たるという感覚を持っているし、西部環境エネルギーセンターは当時では最新であり、立派なものを建てたと皆さん自負していた。この数年でこんなに単価が変わるのかと驚いているが、単価7,000万円は高くないか。

 

◎桑原環境政策課長 東日本大震災と東京オリンピック・パラリンピックの影響により材料費が非常に高騰している。あわせて、人件費は労務単価が上昇を続けている上、高機能な機械や設備が導入されて、以前よりも機材の単価が上がっている。7,000万円は高いとの指摘であるが、今年4月に入ってからプラント業者に聞いたところによると、8,000万円ほどに上昇しているとのことであり、単価は決して高く見積もったものではない。

 

◆広田美代委員 東日本大震災や東京オリンピック・パラリンピックによる労務単価の上昇が価格を引き上げていると思うが、これは時勢的な問題なので、10年後にこの状況が続いているのか誰にもわからないし、かつ人口は減少すると国も市も認めている。さらに、ごみが約14%減るという数字も、全国平均にすぎないことから、私は文章として予測できないことを明確にあらわすのは行政としてどうかと感じている。書いた責任が問われてくるわけで、10年後のことであるので、市民に説明しても納得が得られないと思う。書き方を見直すべきだと思うが、どうか。

 

◎桑原環境政策課長 具体的な数字を示さずにエネルギーセンターの建設費用が安くなると市民に情報提供しても意味はなく、今現在考えられる積算を示すことは、必要なことだと考えている。

 

◆広田美代委員 例えば人口減少や経済の状況いかんでごみが減ったり、設備や建設単価が下がったりした場合に、もっと安く建設費を抑えることができる可能性もあり、以前に30億円程度の費用削減と言ったことでそれを基準にされても困る。いずれにしても問題は出てくるし、市民の不信感を招くのではないか。

 

◎桑原環境政策課長 繰り返しになるが、ある程度の数字を示さないと市民にきちんと判断してもらえないので、情報を提供していきたいと考えている。

 

ここからは補足です。

市長も課長も「有料化すれば家庭ごみは14%削減をする」としていますが、これはあくまでも有料化5年後の全国平均ですが、市はこの数値を目標としています。

仮に、この数値が実現できるとしてみると、スケジュールはこうなります。

30年 2月 ごみの有料化実施

32年 環境アセス調査 場所をどうするか、規模をどうするか

※今の敷地のどこかかもしれないし、違う敷地かもしれないし、違う地域かもしれないとのこと。

35年(5年後) 14%削減できていたら、建設費の想定が20~30億円安くなる

         設計・工事

39年 東部環境エネルギーセンターは使えなくなり、新施設へ移行

   ※とにかく間はあけられない、とのこと。

 

そして、14%削減としていうのは、東部環境エネルギーセンターに持ち込まれる家庭ごみだけではなく、事業系ごみについての目標でもあるとのこと。

委員会質問で述べたように、10年後のことなのに、具体的な数値を示すのはいかがかと思うし、14%削減は、すでに金沢市が予測している人口減少分は加味されているのか疑問です。

そして、本来は14%削減の中身を出してほしいところですが、紙ごみがターゲットとそれだけで、曖昧にしています。全国平均はあくまでも全国平均であり、本市ではどうするのか、具体的に示すべきです。

 

しかし、「ごみが減る」と言っても、本当のところどうなのか。

実は、自治体が把握するごみにはからくりがあります。

以下はそのことについてです。

 

【ごみ量のからくり】

ここからは、有料化でごみ量がどう変わるかの話です。

まずは、一般ごみの排出されたあとの流れです。

資源も並べて書いていますが、廃棄物の考え方では、資源もごみ量としてカウントします。古紙や段ボール、容器包装などもごみとしてカウントされるのです。

つまり、ごみが減るというのは、資源も減ることも含まれます。

そこで、金沢市が廃棄物として扱うごみ(参廃以外)を図にしてみました。

 


町会に出されるもの、施設へ持って行くもの、民間が集めに来るもの、何パターンかありますが、赤丸をつけたものしか市はカウントしません。というかできません。

つまり、家庭ごみで言えば、青丸の「ストアくる以外のスーパーなどに出されたごみ」はカウントできません。

事業系ごみも、青丸の「市へ搬入されない資源ごみ」はカウントされません。

そして、市がいう「ごみ」は、金沢市がカウントしたものに限ります。

つまり、実態としてはあるのだけど、金沢市がカウントしなければ「ごみ」として数値化されないのです。

 

有料化されてもこの流れは変わりません。

だとするとどうなるか。

たとえば、家庭ごみについては、、、

家庭ごみ有料化の袋に古紙や段ボールを入れて出すことは考えにくいし、市民はなんとかして、古紙や段ボールはステーションではなくスーパーや市の拠点施設に持って行くでしょう。

市の回収拠点や集団回収、ストアくるならば金沢市がカウントしますが、それ以外のスーパーに持って行った場合はカウントされません。

そしてその数が圧倒的に多いのです。(ピンク印が市のカウントするところ)

 

 

しかも、有料化が決まってから、スーパーの店頭での古紙の回収が10以上増えています。

本当は、市の資源回収日に古紙や段ボールも集めてくれるのが、市民の根強い声ですし、効率もいいはず。しかしそれには金沢市はがんとして対応しません。

ここにからくりがあるのです。

繰り返しますが、金沢市が把握するごみと資源は、町会のステーションか市の施設と、8つのストアくるステーションのみで、みなさんがよく出されるお近くのスーパーで回収した資源については量の把握はしていません。

 

下図のピンクをつけたところが市が量をカウントするところ、ピンクついてないところは、市がカウントしないところです。圧倒的にカウントしないところが多いのです。


つまり、市が把握しないところに持って行ってもらったほうが、金沢市の把握するごみや資源が減る。資源もまずはごみとしてカウントしますので、金沢市の計測上のごみは減ることになるのです。

だったら、市の施設は増やさず民間にお任せしますよね。

だから市独自の施設や回収の仕組みは増やさないのね、と納得です。

民間事業者が資源を回収する。それ自体は事業者責任というのがあるのでいい流れとは思うのですが、そこに出された量の把握ができないようであれば、市民が出すごみや資源の本当の量はわからないことになります。

つまり、今後「有料化でごみが減った!」と市がいくら宣伝しても説得力がないのです。

しかし、この仕組みで言えば、今でも正しいごみ量や資源化率は把握できていないということも否めません。市が集め処理するものだけをごみ量として国へ報告しているのです。

結局、消費や生産量を見るのがもっとも正しいんじゃないかと思ったりするのですが、そう考えると、ものを買うとかごみになるとかって、個人の行動云々よりも、圧倒的に経済状況や政治の力が大きいと思えてきます。

個人の話に歪曲化しようとしているのがごみの有料化施策なんじゃないかと。

だって、産業廃棄物なんかはの量は、私たちが出す一般廃棄物と一桁多いわけですから、ほんとにごみ量減らすならそちらに目をむけるはずでしょう。

以前も書きましたが、「ごみ有料化」は国がすすめる政策です。

弱い市民に負担をおしつけるようなこんなやり方、絶対許すわけにはいきません!

 

 

 

▲ このページの先頭にもどる

広田みよツィッターページ
広田みよフェイスブックページ
広田みよフェイスブックページ
日本共産党中央委員会
日本共産党石川県委員会
日本共産党金沢市議員団
JCPサポーター
© 2010 - 2024 日本共産党 金沢市議員団 広田みよ