ブログみよみよ日記

思い出ピアノに想う。

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地元紙でも取り上げられましたが、金沢市の文化政策課が昨年の10月に、片町きららの広場に設置した「思い出ピアノ」が撤去されることになりました。

その理由は、8月8日の文教消防常任委員会で報告されたように、次の通りです。


今後の対応として、①ピアノは撤去する

(理由)

ピアノを屋外に設置していたため、ピアノ線自体の老朽化が激しく、突発的にピアノ線が切れて周囲に危害を及ぼす恐れがあるため。

としています。

ただ、今回の報告の中身は、7月31日にピアノ蓋や施錠部分が破壊されたことについてほとんどを占めています。

ですから、ぱっと見ですと、壊されたから撤去すると見えがちですか、あくまでもそれはきっかけに過ぎず、理由は屋外設置による老朽化ということなのです。

もちろん、ピアノを破損させた行為は許されるものではありませんし、そのことについて法的、社会的にけじめをつけさせていくことは大事です。

しかし、撤去ということが結論となり、その理由は破損ではなく、「屋外設置による老朽化」であるとしているゆえんは、報告にある通り、損害賠償として、加害者から修理相当額が支払われる、つまり破損前の状態には少なくとも戻せるということであり、それでも撤去しなければならないとしたら、それはあくまでも「屋外設置による老朽化」ということの原因があきらかだからです。

委員会では、議員から再設置を求める声も上がり、市は検討するという答弁であったようですが、わたしはいまいちど立ち止まり、しっかり議論する必要があると考えます。

 

 

まずは、議会での議論の経過を載せておきます。

 

(平成29年度3月 文教消防常任委員会にて)

◎詩丘文化スポーツ局長 29年度予算説明の中で

みんなの思い出ピアノモデル事業では、小学校で使用された子どもたちの思い出が詰まったピアノを街角などに設置し、気軽に音楽に親しむことができるモデル事業を実施する。

◆小林誠委員 

新規事業に、みんなの思い出ピアノモデル事業費90万円として、「小学校で使用され、子供たちの思い出が詰まったピアノをまちかどに設置し」とあるが、具体的にどのような街角に、どの程度のピアノを設置して、どのような人を対象にした事業になるのか聞く。

◎石蔵文化政策課長 

小学校を中心に毎年、更新するグランドピアノやアップライトピアノ等が出てくる。具体的にどの学校から出てくるのかまだ把握していないが、子どもたちの思い出が詰まったピアノを利活用し、街角、まちなか、駅周辺等に設置して、行き交う人々が気軽にピアノに触れる機会を提供する事業である。
 来年度はいろいろな意見をもらい、どのようにすれば気軽に街角で聞けるようになるか、検討会を設置し、モデル事業として検討して方向性を定め、平成30年度をめどに実施していきたい。

◆小林誠委員 

平成29年度は試しにやってみてどんな形がよいのか検討して、方向性が定まり次第、事業に取り組んでいくと認識しておく。
 グランドピアノは、結構な重さや大きさもあり、簡単に運んだりできないし、外に置けば雨風の心配もあるが、どのように考えているのか。

◎石蔵文化政策課長 

屋外で雨ざらしということは想定しておらず、屋外であっても、例えば屋根がついているスペースを想定している。そのほか騒音等になる可能性もあり、そういうものをいろいろ含めて検討していきたい。委員指摘のとおり、グランドピアノを運ぶために当然運送費がかかり、調律等の必要も出てくるので、その経費も含めて90万円を予算計上した。

 

(29年度 5月 文教消防常任委員会にて)

新保文化政策課長 金沢まちかど思い出ピアノ設置検討会について・・・・・・

 金沢まちかど思い出ピアノ設置検討会について報告するので、文化スポーツ局報告案件-2を見てほしい。
 事業の趣旨だが、駅や商店街など市民や観光客が集う街角に、小中学校で使用され子どもたちの思い出が詰まったピアノを設置し、気軽に演奏を楽しんでもらうことで新たなにぎわいの一助としたい。
 このため、音楽関係者など8名から成る検討会を設置し、ピアノが日常的に演奏されるための仕掛けや発信方策、ピアノを利用したイベントの提案などの意見をもとに、もてなしドームの地下広場に実験的にピアノを設置し、利用状況を検証したいと考えている。検討会は3回程度開催したいと考えているが、まずは今月30日に第1回目の検討会を開催し、概要の説明をした後、委員から意見を聞くことを考えている。

 

H30年度今年の予算 「思い出ピアノ」

改 みんなの思い出ピアノ事業費 1,600千円
小学校で使用され、子供たちの思い出が詰まった
ピアノをまちかどなどに設置
新 駅西地下通路、金沢駅こどもらんど

 

 

設置の目的や経過はわかったところで、今回のことを踏まえて、議論したいなと思うポイントは次の通り。

●楽器の扱いについて

今回、「屋外設置による老朽化」ということが結論づけられたが、楽器をそのような屋外で日光や雨、風雪にさらすことが適切なのかどうか。

これまでの委員会の中でも、議員から「外に置けば雨風の心配もあるが、どのように考えているのか。」に対し、石蔵文化政策課長は、「屋外で雨ざらしということは想定しておらず、屋外であっても、例えば屋根がついているスペースを想定している」など、自然にさらすことへの配慮も考えていたのだ。

昨年の10月から半年で老朽化し撤去という結果を受けて、その点についてどう考えるのか。

ちなみに、金沢駅地下のピアノはまだ撤去されるまでの老朽化はしていないという。

 

●目的について

この事業の目的は、「駅や商店街など市民や観光客が集う街角に、小中学校で使用され子どもたちの思い出が詰まったピアノを設置し、気軽に演奏を楽しんでもらうことで新たなにぎわいの一助としたい」

一見、そんなものかなと思ってしまうが、本当にその目的は理にかなったものなのか。

・「思い出」?

まず、「思い出ピアノ」のゆえんは、「小中学校で使用され、子供たちの思い出が詰まったピアノをまちかどに設置」することであるが、老朽化や破損などの末路を迎えて撤去されるというあり方が、子どもたちの思い出の品物の最期として、本当によいのか。

どうせ廃棄するものだからという担当者の言葉も聞いたが、楽器をモノとしてみればそうなのかもしれないが、「思い出」とするからには、楽器がただのモノではなく、子どもたちの仲間だ。あまりにも後味の悪い終わり方ではないか。

さらに、楽器は大切に扱い手入れを続ければずっと使えるというご意見もある。

それらを踏まえて考えたい。

賑わい創出のため?

目的後半の「気軽に演奏を楽しんでもらうことで新たなにぎわいの一助としたい」とあるが、それが「思い出(しかもそれぞれの学校固有)」や「楽器」を利用することとどう関係するのか。

たしかに音が出て人が寄ってくるかもしれないが、現在の片町や竪町の疲弊は、郊外型大型店舗の乱立であることはあきらかであり、商業施設やまちなか賑わい創出にとっては抜本的な対策ではない。

文化政策のふりをして、商店街の賑わい創出の場当たり的な対応としか見えない。

・本当の文化政策はなにか。

楽器に触れ親しむことはもちろんだけど、それ以前に、音楽家の身体の一部とも言える楽器を大切にし労り工芸品として繰り返し直して使うという教育や環境こそ必要ではないのか。

また、小中学校の吹奏楽部などの要望では、楽器や大会などにかかる子どもや保護者負担が多くて、経済的に余裕のない家庭はそもそも吹奏楽部などからは遠のくし、入部しても大変だと聞いている。義務教育で幅広い子どもたちが音楽や楽器に触れる機会を増やし、経済的な差もなく続けていくための対策が必要ではないか。

これは一例だが、文化政策課が担当しているなら、もっと発想を豊かにもってほしい。

 

「金沢まちかど思い出ピアノ設置検討会」というものがあるようなので、ぜひそのメンバーで再度検討していただきたいと思います。

 

以上は私が思いつくポイントであり、みなさんもいろんな思いがあろうかと思います。

ぜひ、私でも市でもご意見やご要望お寄せください。

 

 

撤去が決定した片町きらら広場のピアノです。

 


 

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