ブログみよみよ日記

【2022年金沢市議会】6月議会の最終日に討論。市民サッカー場や歌劇座建て替えなどについて。

6月議会の最終日、6月21日に補正予算や条例改定の討論、採決が行われました。

わたしは、会派を代表し討論に立ちました。

わたしは日本共産党金沢市議員団を代表し、反対討論を行います。

わが会派は、上程された議案21件のうち、議案第2号(補正予算)の一部、および第9号の議案2件に反対です。

その主な理由を述べます。

あらたな市民サッカー場建設について

あらたな市民サッカー場建設に関する予算についてです。

城北市民運動公園整備事業費の市民サッカー場建設工事の予算が、今回前倒しで7億5600万円計上されました。

この市民サッカー場は、当初、現在あるサッカー場の場所で再整備を行うとしてきました。ところがJリーグが示す基準からすると移転新築が必要であるとし、ジュニアサッカーコートや本田クライフコートを壊してその場所に建設することになったのです。これらを含め、全体の事業規模は100億円であり、コロナ禍の今、優先順位が違うのではないか、まだ使えるサッカー場をなぜ壊すのか、と市民からもお声があります。さらに、この事業によって一番の影響を受けるのは、ジュニアサッカーの子どもたちです。今あるコートが4年間にわたって使えないとのことです。そもそもサッカーの普及発展という点からしても、この事業は一体誰のためなのかということが深く問われています。

ネーミングライツについて

そして、今予算ではあらたに、新市民サッカー場のネーミングライツなどの導入ができないか調査をする費用が130万円上程されています。

市民サッカー場は、市民の税金など100億円あまりで建てられる公の施設です。住民の公平な利用に供するため、公の財政によって設置するものであり、特定の大企業や商品の宣伝のために用いるのは、本来の役割とは異なります。市民の多額の税金を使いながらも、市民サッカー場が市民のものではなく、特定企業宣伝の場へ変貌していくことから、この予算には賛成できません。

中心商店街補助金について

中心商店街に立地する大型商業施設へ、テナントを誘致するための奨励金や、仲介する際の経費、そして成功報酬など、あわせて3680万円の予算案が計上されました。

本市内中心部は、駅前や本市近郊の大型ショッピングモールとのし烈な競争とコロナ禍により、苦境に立たされています。本市は、各店舗誘致補助金や空き店舗補助金などで対応していますが、根本的な解決とは言えません。県に対しては市長会などを通じて都市機能や商業環境の形成などの観点から広域調整の仕組みを設けることなどを要望していると市長はおっしゃいますが、本気で取り組んでいただくことを求めます。

新しい交通システムについて

つぎに、新しい交通システム検討調査費2990万円について反対です。

本市の公共交通をめぐっての議論は、コロナ禍でそれ以前とは大きく変遷しています。

コロナ前は、金沢港から金沢駅、金沢駅から有松にLRTかBRTのどちらを導入するのかといった議論があり、軌道の確保や採算面などからみても現実的ではないというお声が議会内外からも寄せられてきました。コロナ禍では、公共交通運営事業者の経営悪化、減便・廃止が起こってそれどころではなく、新交通導入はさらに現実的ではなくなっています。実際、新交通を議論するはずの、新交通検討委員会までもが、「公共交通の持続可能性確保に関する中間とりまとめ」に取り組むなど、もはや新交通システムの議論そのものが必要性を失っています。

そもそも、市民からの要望はほとんどないのもあきらかです。昨年行った中央都市圏へのモニタリング調査でも、「まちなかへの移動を良くするために、公共交通に何を希望するか」という問いへの答えは、バスや電車の運行本数増と運賃の引き下げが40%前後と圧倒的に多く、LRTやBRTといった新交通の導入希望は10%です。

このことから見ても、およそ3000万円をかけて新交通機種の議論をするよりも、各地域で市民がのぞむコミュニティバスの普及にこそ力を入れていただくことを求めます。

歌劇座建て替えについて

金沢歌劇座建て替え検討調査費に300万円の予算が提案されました。どのような施設にしたいかではなく、現在地や日銀跡地の条件にあった施設規模等を考えるという目的となっています。中身ではなく、どうしても立て替えるという目的にも見えます。しかし、そもそも、この建て替えは市民が求めたものではなく、経済界との意見交換会の中で、前山野市長が表明したものです。経緯からして市民の理解はありませんし、12年前におよそ11億円かけて耐震化などの改修を終え、市民の利用が進んでいます。

また、今予算では現代建築レガシーとして玉川図書館は改築ではなく、改修し建物の建築的な価値に配慮した施設改修計画を作成する提案がありますが、歌劇座も同じ谷口義郎氏の監修で建てられ、市民からも愛されてきたレガシーではないのですか。都合よくレガシーという言葉を振り回し、一方は建て替え、一方は残す。矛盾するのではないでしょうか。さらに、市民生活が大変なときに、数百億ともいわれるオペラ座を目的に歌劇座を建て替えるよりも、市民生活・福祉にまわすべきです。よって、この予算には反対です。

デジタル計画について

新DX推進計画策定費300万円が提案されました。本市はデジタル戦略推進本部があり、デジタル戦略をつくり、そのもとで動いてきましたが、さらにデジタル戦略の効果を庁舎内だけでなく様々な分野に広めるためにこのDX推進計画を作るとしています。

ときを同じくして6月7日に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想基本方針」では、デジタル田園都市国家構想は地方創生の目的を共有したうえで、取組を継承・発展するものとしています。

 国は、年内を目途に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改訂し、それに基づいて地方は、目指すべき地方像を再構築し、地方版総合戦略を見直すよう努める、とあります。

つまりは、本市でいうところの、「金沢版総合戦略」をデジタルを用いた総合戦略に作り替える可能性が見えてきました。

しかし、デジタル田園都市国家構想基本方針をみると、デジタル技術で、地方が活性化する、仕事もふえ、少子高齢化も解決すようなことが書かれていますが、これまでの総合戦略はなんだったのかということになりますし、デジタル化と地方創生を組み合わせた、あらたな都市間競争をあおる、莫大な財政出動、地方での交付金争奪戦のはじまりとも捉えられます。誰のためのデジタル化なのか。市民にとって有益な、もっと地に足の着いたものにすべきです。

データ連携と個人情報について

田園都市国家構想基本方針の中にも、本市が今回予算化した「データ連携基盤構築」というメニューがありました。データ連携基盤構築推進費に700万円が計上されました。

産学官民の各データを収集・整理し提供することで、新たなサービスを創出する連携基盤の構築に着手とありますが、市民の個人情報をビッグデータとし、民間の営利のためにも大いに活用しようという考え方です。

個人情報の取り扱いについては、まだ条例改定がされていませんので、匿名加工して市民の情報を使うようなことはありません。しかし、年内には個人情報保護条例を改定し、「保護より利活用」に規制緩和される可能性があります。オンライン結合の禁止、思想、信条、宗教等の個人情報は収集しない、といった本市特有の今ある条項がなくなる可能性がありますし、匿名加工すれば民間にも提供できるなど、といった点が追加される可能性があります。市民の情報は市民の手続きのために得た情報であって、その目的以外に使うことは許されません。こうしたもとでのデータ連携基盤構築は認めるわけにいきません。

金沢港建設について

金沢港建設事業費についても、本市の負担金3億9860万円が提案されています。当初予算2億5千万円とあわせ、6億5千万円にのぼっています。

この事業は、大手企業コマツの進出に合わせはじまり、現在はクルーズ船の入港促進を図るとした岸壁改良事業などです。いつまで続くのかわからない巨額の税金投入は、やめるべきです。

一方、福祉への予算は削減です。

市立保育所の統廃合について

市立保育所の再整備方針にもとづき、市立保育所再整備事業費の予算案が提案されました。森本地区3つの市立保育所、薬師谷・双葉・宮野保育所統廃合のための調査、基本設計などで1900万円です。

移転候補地は森本こどもグラウンドとしています。子どもがますます減るといいますが、現在でも双葉保育園には75名、薬師谷には52名の子どもが通っています。保育所も地域の拠点のひとつであり、子どもを産み育てる環境指標として重要であることは言うまでもありません。

とくに、公立保育所の果たす役割は大きく、これまでのわが党への答弁でも本市は「市立保育所は一般的に統合保育の実施や、配慮を必要とする家庭の子どもの受け入れなど、セーフティネットとしての役割が求められている。民間施設が多い本市において、市立保育所が果たす役割は極めて大きい。また市立保育所での保育業務等を通じ、職員を継続的に育成することで児童相談所や幼児相談所における相談支援業務の他、幼児教育センターで行う幼児教育・保育の質のさらなる向上のための取り組みに対応できる人材の養成にも繋がっている」と、本市自身が評価しています。

そして、市内どこに住んでいても、安心して子を産み育て、住み続けることのできる地域環境を守っていくのが行政の役割ではないでしょうか。今回の統廃合計画には賛成できません。

市立保育所の給食外部委託について

 また、市立保育所の給食についても問題です。

5つの市立保育所において、調理師の退職をみすえ、外部へ委託するとして今年度は3月分の予算440万円が、市立保育所給食調理業務委託費として予算提案されています。

もともとは、自園調理を原則としていた保育園において、1998年に規制緩和が行われ、外部委託が可能となり、第二次安倍政権では外部搬入までが可能となる規制緩和が行われました。また、本市の人事政策では、技能職の退職者不補充という方針をとっているため、調理師さんが退職しても補わないという仕組みから、今年度からいよいよ市立保育所において、従来の直接雇用ではなく外部委託へと移行していくのです。市や園が、直接子どもたちの食に責任はおわず、業務の指示もできない外部委託は問題であり、反対です。子どもたちの成長・発育に責任を果たしていくために直営を続けるべきです。

条例改定について

議案第9号「金沢市本社機能立地促進のための金沢市税賦課徴収条例の特例を定める条例の一部改正について」に反対です。これは、本市に東京23区から本社機能を移転させると、固定資産税が免除される制度をさらに延長するというものです。国の地方創生の「地方拠点強化税制」のメニューで、都市部と地方の格差是正のために始められたものですが、利用も少なく、一部の大手企業への便宜を図るものです。地元企業の支援こそ行うべきと求めておきます。

陳情について

陳情第18号「政務活動費の金沢市条例改正についての陳情書」は、市民オンブズマン石川の代表幹事から出されました。政務活動費が、本来の目的に沿って運用されるとともに、さらなる情報公開による透明性の確保や必要な改善が求められています。この陳情の趣旨を理解するものです。

付託された議会運営委員会で、不採択となりましたが、その決定に反対するものです。

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