これまで私たちは、学校給食について、「大型共同調理場ではなく自校方式(単独校方式)を!」と求めてきました。しかし、金沢市の方針(下記参照)は、これまでの共同調理場をより大型化し、さらに自校方式は廃止していくというものです。
上記の計画はH22年につくられ、やや足踏みをしていたものの、いよいよ動き出しました。
この12月議会で、山野市長が「鞍月共同調理場の代替機能となる新たな共同調理場の設置場所として、先般、旧県央土木総合事務所(泉本町6丁目)の用地取得を、県に申し入れたところであり、今後、協議を進めてまいりたいと考えています。」と述べたのです。
上記の資料でいうところの、右側のピンクの「調理場新設6000食程度」というのを指します。
なお、大桑議員の質問への答弁などから、教育委員会の考え方がわかりますし、資料の「(鞍月を)改築3000食程度」も委員会答弁などから、今後どうなるかわかりません。
さらに、「粟ヶ崎、米泉が統合」となっていますが、全体として廃止する調理場をどこの調理場が受け持つかなど、今後、学校給食懇話会で話し合われるとのことです。
にしても、自校方式である、富樫小、三馬小、伏見台小、大徳小についての廃止はどこからなのかはまだ未定ですが、計画はされており、今回の新調理場建設によって現実味を帯びてきたわけです。
「お昼になると給食の香りがしてきてお腹が鳴る」ような、近くて、作り手の顔がわかり、温もりのある給食は「食育」にもつながりますし、災害時は学校が避難場所となることから、菓子パンや冷えたお弁当ではなく温かい炊き出しが提供できるということで、自校方式へ回帰する自治体(例えば高崎市など)も出てきています。
しかも、金沢市ではこれまで実例のあるように、共同調理場でなにかあれば6000食が一気にが滞ります。29年の大雪のときには、道路の除雪が進まず配達ルートが確保できず、多くの学校で給食がお昼時間をはるかに過ぎて運ばれるということもありました。
校長先生の味見で異変を感じ、そのおかず全ての提供が中止になったこともあります。
みなさんのご記憶に新しいのは、外注していたパンの製造工場が経営維持ができず、市内一斉に米飯のみになったこともありました。
これらは、同じところから大量に提供するということのリスクを物語っています。
また、共同調理場のみなさんは、毎日、一生懸命子どもたちのために作っていただいている前提はもちろんありますが、実は丸ごと市からの業務委託(自校方式だと、市の直接雇用)です。労働者の立場からすれば公的な直接雇用の機会も失うわけです。委託先の労働環境や処遇についても、基本的には市は図り知ることや指導することができません。
さらに、今求められている地産地消にも逆行します。学校単位で食材を入手する分には、地元の野菜や魚などが可能ですが、共同調理場など何千食となると、まとまった数が必要なので県外の野菜や加工品ということにもなるわけです。
食育や労働環境、地産地消、災害時の対応など、自校方式がのぞましいと考えるものですが、表面的には「衛生面」を市の方は強調しています。しかし、やはり経費節減、効率化という理由が大きいのではないでしょうか。
この新調理場建設によって、既存の共同調理場所のスクラップアンドビルドでより大型化し、自校方式は廃止されていく、という上記の計画がぐんと進んでいきます。
金沢の給食は、食育、地産地消、労働、災害対応がどうあるべきか、今増えているアレルギー対応など、個別の対応こそ必要ではないか(今はアレルギーの子はお弁当持参)、などいろんな観点から議論が必要です。ぜひ、ご一緒に取り組んでいきたいです。