10月から4回にわたり開催された、前年度26年度の一般会計決算について容認できな
いということで、反対討論をしました。
以下全文です。
一般会計決算討論 日本共産党金沢市議員団 広田みよ
認定第1号平成26年度金沢市歳入歳出決算認定について、認定できないことを表明します。その主な理由を述べます。
26年度は消費税が5%から8%へ引き上げられ市民負担が増えた年であり、ガスや水道などライフラインで5億8千万円、一般会計中では手数料などで、およそ3千5百万円も市民への負担が増えたことになり、また市の歳出も消費税で9億3千万も増加しており、市民と本市財政へ大きな影響を与えています。それに加え、制度改悪に伴い昨年度に引き続き生活保護費は引き下げられ、3518世帯に6600万円もの支給額の減少をもたらし、前年度とあわせて減額分は1億1300万円にのぼりました。さらに、本市独自の療養援護制度の基準も引き下げられています。また、国民健康保険については、国の広域化に伴う計算方式の変更により、25年度に続き保険料が引き上げられました。その増加額は前年にくらべ一般世帯およそ2万世帯で4億円、障がい者・寡婦控除を有する世帯およそ5千世帯で1億円、平均で1世帯2万円の増加となっています。25年度から併せてみれば10億円の増額、1世帯平均4万円の増加となります。高くて払えない保険料がより高くなっています。本市は収納率があがっているとしていますが、その要因は差し押さえの増加です。22年度から比較すれば26年度は3倍もの598件にのぼっています。高い保険料が払えずに資格保険証というペナルティを課せられている滞納世帯も、26年度平均では1037件にものぼり、市民の命と健康、くらしが脅かされており、また誰もが安心して医療にかかれるという国民健康保険の理念を見失っています。その背景には低所得や不安定雇用の被保険者が多いにも関わらず国庫支出を減らされ、保険料をあげる仕組がつくられている構造的な問題もあり、引き続き国へ改善を求める必要もあります。
このように市民への負担が増える一方で、アベノミクスによる公共事業を推進する方針を受けて本市でも金沢港や海側幹線などの公共事業や北陸新幹線開業関連に多大な費用が費やされていることは問題です。
特に、片町A地区再開発事業は、県外大企業呼び込み型であり、市内の企業はほぼ出店がないにも関わらず、建設事業費57億円中35億円が公的資金の投入であり、銀座の金沢の出店については、300m先に本市も支出している県のアンテナショップがあることや、多額の賃貸料や運営費をかけており、すでに10年先まで賃貸の契約をしていることなど、問題が多いことを指摘しておきます。
工業団地造成事業の問題では、32億円かけた金沢森本インター工業団地が第1工区、第2工区とも分譲を開始しましたが、その横にある金沢テクノパークに至っては平成26年度を含めて8年間立地がなく、東京ドーム約2個分の用地が残っており、大手企業を中心とする呼び込み型の事業ではなく、地元支援の方向に切りかえるべきです。
職員定数削減の問題については、22年から27年5か年で50人削減の計画で、平成26年度は前年度に比べ5人、この4年間で35人が減りました。また、正規職員から非正規職員への置きかえも進んでいる状況です。全体の非正規職員がしめる割合は26.5%にまでのぼっています。今の雇用実態や職場の状況、そして、マイナンバー制度や子ども子育て新制度など制度の動きが激しい現状を考えると、正規職員をふやして、しかるべき市民サービスを提供する方向に進むべきです。特に、生活支援課については、ケースワーカーが担当する受給者の人数を国において一人当たり80世帯を標準数としているところ、本市では98名と大幅に上回っており業務量もオーバーしており、受給者へも十分な対応ができるとは言えません。よって早急な増員を求めておきたいと思います。
小中学校や保育所、学童保育の耐震化についてですが、26年度の小中学校の耐震化率は全国平均95.6%より低く88.4%となっており、早急な耐震化のための手立てを要します。保育所については全国平均を上回るものの88.4%であり、対策を求めます。特に学童保育については民間に任されており73%の耐震化率となかなか進まない現状もあるため、子どもの命を守るために補助金などの増額も含め市の責任において行うべきです。
さいごに、土地開発公社の解散についてです。
土地開発公社は、本市行政が必要となる用地を先行買収するという役割でしたが、この10年、20年近く、用地買収した土地が利用されることはなく、中にはいわゆる塩漬け用地として残されたままの土地もあります。今回、公社を解散するに当たって、第1に、補正予算で14億円、6カ所、3万6,000平米を買い戻す。第2に、基金で11億円、6カ所、7,600平米を取得する。第3に、起債をし23億円、2カ所、2万3,000平米、また、さらに起債30億円でテクノパーク9万4,000平米を買い戻すとしています。このために、三セク債を新たに46億円計上するわけです。これら15カ所に上る用地が、果たして目的どおり活用されるかどうかという問題があります。中でも、テクノパークは9万4,000平米、東京ドーム約2個分に相当する用地が残されたままとなっています。帳簿価格は29億6,000万円です。ところが、この7年間、新たな企業の誘致はありません。結果的に、この解散に伴って一般財源も含めた起債で処置するというのは、市民の税金をもって処置するということです。
この起債を含めて、本市の一般会計の起債残高は平成26年度末で2,360億円、一般会計規模の1,700億円の1.4倍近くに上り、結果、市民に負担を押しつけており問題です。
以上で討論を終わります。