2020年10月24日に、金沢市学童保育連絡協議会のみなさんが、市長宛に要望書を提出し、子育て支援課の方々と懇談しました。わたしは、顧問としてオブザーバー参加しました。
要望書はこちらです。
はじめに、要望事項に関して市の考えが、述べられました。
1-1)子育て支援課の学童保育担当者の増員ですが、今年度から児童クラブの担当職員が1名増となっているところです。
1-2)学童保育の総務業務を行う事務員の雇用の補助ですとか、社労士・会計士の補助について、現時点で事務員雇用への補助というのは検討していないところです。令和元年度に児童クラブ会計の手引きを作成いたしまして、児童クラブに厳正かつ公正な会計の管理を求めるとともに、指導監査の実施をさせていただいているところです。会計や労務管理体制の見直しですとか、会計士さんなどへの確認を主な目的としまして今回の補助を行っているということになっていますので、有効に活用していただきたいと思っているんですけれども、定期的な監査というのは3年に1回を目安としていますので、それをきっかけとしました体制の見直しの補助制度ということで時限措置であるということをご理解いただきたいと思っています。
1-3)指導員の求人促進費の補助について。求人の困難があるということは多くの児童クラブからご相談いただいているところです。広告媒体の活用の効果についても様々な意見があるところではあるかなと思っております。他の自治体の例などを参考に研究させていただきたいと思っております。
1-4)ご存じだと思うんですけれども運営指針とか解説書というのは一般に公表されていまして、厚労省のHPなどからも見られると思いますので適宜ダウンロードしていただいて、運営委員会等で配布していただければと思っています。運営委員の役割については、児童クラブの運営に関することの審議でありまして、市の実施要綱の第8条に記載の通りです。
1-5)こちらにつきましては児童クラブからの相談につきまして、個別に対応させていただいているところです。
1-6)さらに追加質問という形で「金沢市はこれまでの懇談会を通して学童保育の子どもを地域で育てると答えていたが、法人参入により地域のその役割を果たせなくなる可能性が出ることを懸念している。地域の待機児童を解消することが先決では」という質問もいただいております。これについてですけれども、こちらとしましては地域が主体であるという考えに変わりはないのですけれども、一方で新規参入できる運営主体というのが限られていたということがありますので、担い手がいない校区でのクラブの新設というのは難しい状況がありました。今後クラブのニーズの高い校区での運営者の公募なども見据えまして運営主体を拡大したものです。これまで通りこの場合であっても新設に当たっては校区内の既存クラブとの協定ですとか地域の同意を事前に得ることを求めていくことになりますので、地域との連携は確保されるものと考えています。
次は2に行きまして、施設・待機児童に関する事項になります。
2-1)学童保育施設の建設ということで、順次公設に切り替えるとありますけれども、こちらは毎年申し上げている通りになるのですが、本市では児童クラブだけではなく保育所や老人ホームなど社会福祉の施設は民間での設置を促進して必要な数を確保しておりますので、この方針に変わりはありません。
2-2)監査に当たっては条例ですとか要綱・運営指針などに基づきまして、監査項目を設定しておりまして、安全・衛生面も項目に含まれております。結果は監査後各団体に通知しております。保育所等の他の指導監査と同様、各クラブ個別の結果の一般公表というのは行わないこととしています。
2-3)賃貸で実施している児童クラブの平均賃料は、補助上限額に収まっておりまして、実態と大きく乖離しているとは考えていないところです。が、今後も実情を踏まえ注視していきたいと考えております。児童クラブの運営にかかる経費につきましては、市の委託料と保護者負担金で賄うことが原則でありますので、3分の2という割合の撤廃も考えていないところです。基準適合施設への加算については、クラブの分割等を見直すためのものでありますので、こちらも撤廃は考えていません。
2-4)2-1で申し上げた通り、各クラブ民間での施設整備を前提にある以上、全額の補助というのは考えていないことです。衛生面につきましては、今年度についてはコロナ関係の補助金もありますので、その活用もご検討いただきたいと思っております。
2-5)今後も利用する児童の受け入れのために運営主体と協力しながら様々な工夫により増設等を支援して確保していきたいと考えています。
2-6)2-7もセットかなと思うのですが、余裕教室の貸付など公有財産利用の主導ということなんですけれども、こちらも2-1で申し上げた方針から原則的には運営主体で実施施設を探すことを前提としていますけれども、個別にご相談いただければと思っております。
2-8)こちらは任意団体に事業を実施していただいているため、この問題は承知しており対応が難しいなとは思っていますけれども、個別の対応となりますけれども市としましては今回の運営主体の拡大も対応の一つだと考えているところです。
2-9)こちらの資金の貸付につきましては、社会福祉法において、事業報告書ですとか財務諸表等の経営情報を開示することを義務付けられていて、厳格な監査を受けることなど事業運営の透明性が確保されています社会福祉法人に限定しているところでありまして、貸付対象者を拡大するということは考えていません。
3-1)こちらは今は考えていないということです。
3-2)メールでも追加のご質問をいただいていまして、勤続年数5年以上の支援員さんが金沢市に何人いるのかということもお尋ねいただきました。こちらは市のほかの事業もございますので、均等も考慮しながら検討させていただければと思っております。令和2年度の当初におきまして、放課後児童支援員資格を持っていてかつ5年以上勤務されている支援員さんの数は、114人ということです。
3-3)開所時間の設定につきましては各児童クラブの実情を考慮して検討させていただきたいと思っております。
3-4)これも運営費の中でご対応いただければと思っています。
3-5)ご存知だと思いますが、発達障害等の巡回支援事業については実施させていただいていますが、今のところその他運営に対するアドバイスの巡回というのは考えていません。
その後、懇談の中で、以下のことが意見交換されました。
・運営主体を学校法人やNPOにも拡大する実施要綱の変更について
・財政、契約の問題がついてまわる民設の大変さについて
・NPOや学校法人が参入したらどうなるのか
・家賃の補助を増やせないか
・指導員の給料や運営費について
・新型コロナウイルス感染症対策について
今回も、保護者のみなさん、事務局のみなさんから切実な訴えが出されました。
金沢市は、民間で家を借りたり、建てたりして学童保育を設置し、さらに民間で市から委託料を交付されて運営するという手法です。そこには地域それぞれのやり方があり、保護者が負担を負っているところもあります。国がガイドラインを作る前から、保護者や地域の努力で作られ運営されてきたという歴史もあるのですが、現状では、地域や保護者でといっても、なかなか新たに学童保育を設置しようにも難しく、運営も財政面で四苦八苦しており、学童保育の新設や分割がすすまず、待機児童が減らない状況です。さらに、指導員さんのお給料は、そもそもの国の基準が低いためなかなかあがらず、人手不足も深刻です。しかし、 2015年の法改正で初めて児童福祉法に「学童保育」が位置づけられ、職員配置なども国の最低基準を定めました。 市も設置責任があります。市が責任をもって、学童保育の現場とともに、今回出されたことを改善、拡充していくことが必要です。
今年の3月に突然市長が、NPOや学校法人に運営主体を広げるとしたことについては、実施要綱も4月に変えられていることがわかりました。これまで「地域で担い手をつくるにはどうしたらよいか」という現場からの問いに、市長からは明確な回答や支援がなかったにも関わらず、唐突に運営主体の角度を変えたことに驚きました。市連協のみなさんからもその点は今回の懇談でも出されました。なぜ、急に運営主体を拡大したのか、学童保育の質が担保できるのか、きびしく見ていかなければならないと思います。