金沢市議会9月議会 一般質問の全文
日本共産党金沢市議会議員 広田 美代
発言の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として、以下数点にわたり質問をいたします。
1.国民健康保険について
質問の第1は、国民健康保険についてです。 この間取り上げ続けておりますが、今年度も保険料は上がり、市民からも「高い。払えない。」という声が、引き続きあがっています。 国民健康保険は、加入者の過半数が、年金生活者などの「無職者」であり、本市では、総所得200万円以下の世帯が8割を占めています。そのため、国の手厚い援助があってはじめて、成り立つ医療保険ですが、国は国庫負担の引き下げをはじめ、責任を次々と後退させてきました。そのため、国保料がどんどん高くなり、本市でも、例えば4人家族、年収300万円の世帯で年間3,40万円の保険料。およそ年収の1割以上です。そのため、払いたくても払えない世帯が増え、金沢市では加入世帯の、約2割が滞納する状況に陥っています。 そこで、
①直近の加入世帯、滞納世帯数、滞納すると、保険証の代わりに出される資格証明書・短期保険証の発行数を教えてください。関係市民で構成する「国保をよくする金沢市実行委員会」では、これまでに4回の電話相談を開催しました。その中で、「会社を辞めてから国保の相談に行ったが、保険料が高くて加入できなかった」、「保険証がなく治療を中断している」といった、深刻な相談が、数多く寄せられています。特に、高すぎる保険料の相談が最も多く、払いたくても払えないのがその実態です。
②そこで、払いたくても払えない方に寄り添う制度が、本市の減免制度かと思いますが、それをなかなか利用しにくい人が多いのも現状です。減免制度適用範囲を拡大するお考えはないのでしょうか。たとえば、現行制度による適用は「生活保護を受ける者と同程度の実情」とありますが、わかりやすく「生活保護基準の1.4倍に」拡充するなど、救済の裾野を広げてほしいと考えます。さらに本市では、来年度から国保料の計算方式が、旧ただし書き方式へと変更されることとなっています。所得から基礎控除33万円しか引かれずに、国民健康保険料の所得割額を計算することになります。これによって、低所得者を中心に各種控除を受けている世帯の、国民健康保険料が大幅にはね上がることになると懸念されています。
③そこで、あと1年半後と差し迫った、「旧ただし書き方式」への変更に向けて、試算や分析、市民への周知はどうなっているのかお答えください。
④また、保険料が急に上がらないようにする「激変緩和措置」を行うと聞いていますが、どんな層を対象に、どれくらいの金額をカバーし、何年間続けていくつもりなのか、お答えください。
⑤最後に運営協議会についてです。 「国民健康保険事業の、運営に関する事項の審議等を行う協議会」が運営協議会であり、年2回開催されます。しかし、2回のうち年度末の保険料率改定の回などは、「政策形成過程なので」という理由で、非公開になっています。しかし、市民のくらしに関わることを非公開にする時代ではありません。全ての運営協議会の公開を、求めますがいかがですか。
2.雪対策について
質問の2点目は、本市の雪対策についてです。 雪は、北陸の象徴でもありますが、最近の集中的積雪や高齢化などにより、自宅や地域の除雪ができるのか、通勤・通学路などの雪は、誰が除雪をするのか、災害時の避難や、緊急車両が通過できるのか、市民の不安の声があがっています。 本市も、課題として次のようにうたっています。「生活道路では人力による除雪を基本としているが、近年中心市街地の空洞化や高齢化等が進み、除雪を行なう人手不足が問題となっているほか、排雪スペースがない。」と。 大学生などの、ボランティアもがんばっていただいておりますが、それはあくまでも除雪メインの目的ではなく、社会参加と地域活性化が目的と聴いておりますし、大学周囲の地域に偏っている、という現状もあります。 自力、地域の助け合いはもちろんですが、限界があります。ご高齢の方にとっては、玄関が雪で埋もれ死活問題にも関わる雪。行政として市民の安全やくらしを守るうえで、もっと積極的に力を注ぐべきです。
具体的に提案します。 まずは、歩道も含めた市道の除雪範囲についてです。 現在、市の責任で除雪を行うのは、市道全長の2141km、のうち幹線道路やバス路線を中心に862km。市道全体の40%にすぎず、それは市の出動基準で最高の、60cm以上の積雪があった場合です。よって昨年も、40%を下回る除雪率です。歩道に関しては、およそ100kmのみの除雪となっています。 市民の根強い要望は、大きい通りだけでなく、町中の生活道路も除雪してほしいということです。歩道も含め、市の責任で除雪する範囲を、拡大するべきと考えますがいかがですか。 次は地域の消雪装置、除排雪車購入の補助率についてです。 雪を解かす消雪装置の設置、除排雪車の購入など、どちらも、導入すると決めた町会などに半分の補助が出ます。しかし、たとえ補助を受けたとしても、世帯の少ない町会などでは、1世帯あたり2,30万円の負担もされたと聴いています。 ②今回の補正予算でも、町会等の消雪装置や、除排雪車機械の購入に費用がついておりますが、地域の方々の負担も大変なものです。市民に地域の助け合いを促すのであれば、せめて購入、設置の補助率をあげるべきと考えますがいかがですか。 最後に、金沢では何十年も前から、地域独自で雪対策には工夫をされてきています。扇町の消雪装置は、県外から視察に来るほどですし、それを受け継いで小将町、木曽坂などに応用しています。北安江や東山3丁目でも、町会のみなさんががんばっておられます。消雪装置の技術も、町会での管理も、長年培ってきた経験と、住民のご苦労が活かされています。 ④ぜひ、その経験や現状を交流し、本市としても研究を行い、地域への積極的な普及に、取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。
3.不妊症・不育症への助成について
3点目の質問は不妊症・不育症への助成についてです。 まずは、不妊症への助成について伺います。 今日の日本では、不妊の検査や、治療を受けたことのある夫婦は、6組に1組。 女性の社会進出や価値観の多様化、若い世代の就職難などで晩婚化が進む現代、不妊は先進国共通の課題です。先日もNHKで「卵子の老化」というテーマで放映があり、8000人からのメールが寄せられたほど、反響があったそうです。日本は、不妊治療専門のクリニックが世界一多く、体外受精の実施数も世界一となっています。ここ石川県でも、体外受精・顕微授精を併せて、昨年は2762件の治療が行われています。しかし、不妊治療は費用と時間がかかり、子どもを産みたい世代の家計や生活を圧迫します。体外受精ともなると保険がきかないため、1回に30万から60万円といった多額な費用が必要となります。しかも1度治療すれば妊娠できるというわけではなく、その確率は30代前半でも3割と言われています。そのため、何年も続けているご夫婦も多く、妻がパートをはじめたり、ローンを組んだりと、産んだ子供のために必要な貯蓄もできない状況です。また、高度な不妊治療ができる産婦人科も少ないため、患者さんがひとつひとつの病院に集中し、受診時の待ち時間も長く、仕事を休んで病院に行かなくてはならないことから、仕事を辞めたり休んだりしなくてはならず収入が減ってしまうという方も多くいらっしゃいます。 そんな中、「不妊治療の経済的負担を緩和してほしい」という声を受け、2004年にはじまった、国の特定不妊治療助成事業。石川県と金沢市では、翌年から一般不妊治療についても助成制度をもっています。それぞれ、利用されるみなさんの声を受け、何度かの制度改善をしてきており、現在では本市の申請数は年々急増。一般不妊治療は189件、特定不妊治療は646件にも上っています。しかし、この制度には、夫婦合算で所得730万円以下という制限があるため、まだまだ受けられない方がいるのも現状です。 お隣の富山県や富山市では、国の基準では所得制限があるため利用できない方に対しても、独自に支援を行っています。その結果、助成申請全体の2割の方が、国の所得制限を超えても助成を受けています。 石川県でも、19ある市町村のうち16が、独自の上乗せ制度を設けています。中には所得制限を設けずに行っている自治体もあります。少子化対策に力を入れる本市も、国の所得制限を超える方の分を追加して助成するなど、独自で上乗せ制度を行うべき、と考えますがいかがでしょうか。
次は不育症についてです。 厚生労働省の定義では、不妊症と違い妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して、結果的に子供を持てない場合を不育症と呼びます。 不育症は、適切な治療を受ければ80%以上の確率で出産にたどり着けるといわれています。しかし不育症の治療は、保険適応がないものが多く、多額の費用がかかることが多くあります。そのような方々の声で、昨年度はヘパリン自己注射の保険適応が認められましたが、適応する方は不育症患者さん全体の多くても4~5%と言われています。 このような不育症の実態が周知されてきた今、少子化対策の一環として市町村独自で不育症の助成をはじめるところが増えています。 石川県でも一昨年度から能登町、昨年度からかほく、能美、今年度から津幡、小松市が助成をはじめています。 ぜひ本市でも、不育症を抱える方に寄り添うため、助成事業をはじめるべきと思いますがいかがでしょうか。また、不妊症や不育症は、ひとりで悩みを抱えているケースも多く、身体的にも精神的にもつらい思いをされている方もおられます。また相談に応じるにも専門的な知識を要します。治療が必要かなと思っている方や、治療をされている方に対して、専門の相談機関を設け、寄り添うことも必要と考えます。 石川県では不妊相談センターを設け、年間200から350近くの相談を受け付けています。本市のそういった体制はどうなっているのか、そして今後、不妊や不育が増える中、どのような方針で取り組んで行くのかお聴きします。そして不妊症や不育症のこと、年齢が高くなると妊娠しにくくなることなどについて、市民への周知や理解を得る取り組みも必要です。周知という点で市民にどう働きかけるのかもお答えください。 最後に、会社や地域・家庭で、女性が不妊などの治療、妊娠・周産期を迎えながらも、自身の体と心に負担をかけずに、能力を発揮できるような環境整備を進めていくことも、男女共同参画の一貫であると申し述べ、次の質問に移ります。
4.学校給食の放射性物質検査について
最後の質問は、学校給食の放射性物質検査についてです。 東日本大震災における原子力災害により、放射性物質が拡散し、農作物などへの影響が生じており、学校給食においても安全・安心の確保が求められます。震災から1年半経過したとは言え、セシウム137などの半減期は30年、各地で今でもたまに見つかる高濃度食品。お子さんをもつお母さんをはじめ、不安を抱える方々が多くいらっしゃいます。 そんな不安に応えるべく、先週から県は、文部科学省の委託で金沢市の小学校給食のモニタリングをはじめています。本市ではそれに合わせて、中学校給食の検査を行っているところです。小学校給食は中央共同調理場、中学校給食は北部共同調理場において、子どもたちに提供した後の1週間分の給食を冷凍保存し、委託を受けた予防医学協会が週末に回収。ゲルマニウム半導体検出器で、セシウム134および137のふたつを測定します。3月8日までの間の18週分で実施をします。
結果は、随時県及び市の教育委員会のホームページで公表するとされています。そこで質問ですが、検査時の検査下限値をどこに定めるのか、またセシウムが検査下限値を超えて出た場合どのように対応するのかお答えください。それにしても、今回の検査では子どもたちが食べる前の給食ではなく、食べた後の給食を検査するのですから、そこに市民の疑問と心配の声があります。なぜ、食べる前に検査をしないのか、その考え方をお答えください。他都市を例にとりますと、札幌市では食べる前に、1都16県の食材を中心に、食材別にいくつか調査しており、検査下限値を基準とし、それを超えた野菜が見つかれば提供を中止しています。すでに事前の検査で、使用を中止した食材もありました。 小金井市でも食べる前に、検査をしており、保護者のみなさんに安心を与えています。 なぜなら、食べた後に万が一出たら、どうしようもなくなるからです。 安心を、食べた後の検査で与えるのではなく、食べる前に安全を確認して、安心を与えられるような検査方法であれば、市民からも納得が得られるはずです。であるならば、今のやり方で満足せずに、すでに検査実績を積んでいる、他の自治体の例も参考にし、住民のご意見も取り入れながら、もっとも安全を確認でき、安心を与えられる方法を、本市としても探るべきと考えますがいかがですか。
最後に市長!給食をはじめ、金沢市民全体の食の安全安心のために、県や民間頼りではなく、自らチェックできるよう、ゲルマニウム半導体の検査機器を導入し、検査体制を整えるお考えはないか伺いまして、質問を終わります。