先日の市民福祉常任委員会で、学童保育(放課後児童クラブ)の報告がありました。
目次
今年度の現状
昨年よりも、利用児童数が103名も減っていることが目につきます。金沢市の説明によると、コロナ禍でリモートワークが増えていることなどが理由です。しかし、103名減っていながら、どうして待機児童数が減らないのか、しかも4園の新設や分割した学童保育があるのになぜか、という疑問がわきます。金沢市の回答は、増えた4園と待機児童が出ている園は1園しかかぶっていない、というのです。ちなみに、閉鎖の2園は利用児童減と統合です。
待機児と増設計画が一致していない
たとえば、保育園などでは、この地域に待機児が出ているから、この地域に保育園を増やしましょうと金沢市が取り組み、新しい園ができると待機児が減ると言うのが理想です。が、学童保育はそうなっていません。その理由は、これまでも議会で取り上げてきたとおり、待機児の正確な把握ができていないことと、新増設の取り組みは、地域や民間任せであり、金沢市が主体となって整備計画をもたないということにあります。以降、それを細かくお話します。
報告される待機児数が実際より少ない
上記の資料で、待機児童数が報告されていますが、これは実態に即していない可能性が極めて高いです。なぜなら、金沢市の待機児童の定義は、「キャンセル待ちとなっている人数」とのことですが、わたしへの市民のみなさんや学童保育関係者からの直接のご相談では、「学童保育の説明会でもう定員がいっぱいだと言われあきらめた」「そもそも低学年までしか受け入れていない」「利用について、学童保育にお電話でご相談があり、お断りする人数は名前もおっしゃらないこともありカウントできない」でなど、申し込みやキャンセル待ちをする前にあきらめている方の人数はあがってきませんし、中学年、高学年でも入所したいけども入れない方、お電話で名乗らない方などの人数もあがってきません。
つまり、学童保育は待機児童数の実態がつかめていないのです。
保育と違って認定や利用調整を市が行わない
なぜ実態をつかめないのかというと、学童保育は、保育園とは違い市が申し込みを受け付け、利用調整するのではなく、およそ100ある学童保育それぞれにご相談や申し込みをする方法をとっており、金沢市は、どなたが学童保育入所を希望しているのか、結果として入れたのか入れなかったのかということを把握できないのです。
まずは実態を把握すべき
まずは、学童保育の入所希望者数と利用調整の結果を、金沢市として実態把握すべきです。そうでなければ、どの地域でどんな学年の方が入所できないのかということを掴むことができません。本来は、こういう情報をもとに、この地域に○○人入所できないから、学童保育を○箇所増やそうという整備計画をつくっていくのが行政の役割です。
金沢市の責任のもとで
ただ、学童保育はこれまで、地域や民間が主体となって作ってきた歴史があり、なかなか市の責任を明確にしません。しかし、2015年からの「子ども子育て支援新制度」では「学童保育の質と量の充実」が明確化され、「市長村が実施主体となり」、「地域のニーズにもとづき計画を策定、給付・事業を実施」するとしており、「国県は市町村を重層的に支える」とあります。
つまり、金沢市が主体となって取り組むことになっているのです。
よって、地域任せではなく、金沢市が主体となって、利用調査を行い、地域ごとに整備計画をつくるべきです。
運営費や指導員の処遇改善も不可欠
そして、学童保育が増やせない背景にはもうひとつあり、運営費が少なく経営が困難であったり、関連して指導員さんの処遇が低く抑えられており、担い手が不足しているという問題もあります。国や自治体の予算を拡充させることが必要です。また、金沢市の場合は民設民営がほとんどですが、公設公営や公設民営という方法も広げていく必要があります。