2月17日からはじまっている、金沢市議会2月議会。
山野市長が12月までの任期を残し辞職したため、本来は3月に行われる、来年度予算の議会が2月に早まって行われています。
予算案の内容についてはこちらからご覧ください。
その中で、市民のくらしや負担に関して重大なもののひとつがこちら。
目次
玉川図書館と玉川こども図書館の駐車場を有料化する
という予算案と条例改正案(議案第92号)です。
有料化の中身はこちらです。
1 概要
新しいこども図書館の開館に合わせ、地下に図書館利用者向けの駐車場を新たに開設し、駐車可能台数の増加による利用者の利便性向上を図る。なお、開設にあたっては、新たなまちなか駐車場の整備であることから、市役所地下駐車場や近隣の民間駐車場との均衡を考慮し、有料化する。
2 玉川図書館・玉川こども図書館の駐車場
①駐車台数、使用料の額等(予定)
・駐車台数 こども図書館地下部分 73台 (旧こども図書館駐車場 56台)
玉川図書館部分 22台 (現在と変わらず)
・供用時間 午前9時30分から午後9時まで
・使用料の額 入場 1 回につき30分以内無料、30分を超えた場合30分までごとに100円
午後9時を超えた場合は1,000円を加算
・休館日(月曜日、年末年始、特別整理期間)は閉場
※使用料の額等については、令和3年度市議会3月定例月議会に金沢市図書館条例の改正案を上程する予定
②現在の玉川図書館駐車場の利用中止
新たな駐車場整備にあたり、現在の玉川図書館の駐車場についても整備工事を行う必要があるため、令和4年2月1日(火)(予定)から、玉川図書館駐車場の利用を中止する
が中身です。
30分以内は無料ですが、超えたところから30分につき100円。
かりに3時間利用すれば300円となります。
わたしは、反対です。
その理由は以下の3つ。
①図書館無料の原則に反する。
図書館については、法律があります。
その経緯は過去にさかのぼります。
図書館は誰もが気軽に利用できる、いまや当たり前ですが、歴史をさかのぼれば、世界も日本も過去の図書館は、一部の方しか利用できず、日本では第二次世界大戦以前は政府の見解に適した本しか公開を許されませんでした。それが新憲法のもとで図書館法が制定され新しい出発をとげ、市民ともに発展させてきたのです。
だからこそ、戦後の新憲法のもとで制定された図書館法では、だれもが図書館で本を読む自由を保障しているのです。
とくに第十七条「無料の原則」では、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」とあり、70年間以上にわたって守られてきました。
所管する教育委員会は、駐車場はそれに当たらないという見解のようですが、現に玉川図書館は37.8%、こども図書館は65%の方が車でお越しになっているアンケート結果があるのです。その中には、小さなお子様連れであったり、障がいがあったり、郊外から来ているなど、それぞれのご事情があってのことと思います。その方々にとっては、図書館利用にとっての負担や障がいになることはあきらかであり、誰もが本を読む自由を阻害することになります。
減免規定が示されましたが、イベントに参加された方についてのようです。
②市民にも議会にも直前の報告で、説明・議論ができていない。
この駐車場有料化の方針が示されたのは、昨年の12月16日がはじめてです。そこから、2か月ちょっとで議会にかけられ決まってしまうというのはあまりにも、説明不足、議論の時間が足りません。
さらに、図書館は利用者に毎年アンケートをとるなど利用者の声を聴かねばならないのに、利用者にはまったく知らされていませんでした。
そして、図書館の運営に関して協議する、図書館協議会もこの件について議論はされていません。
③市民の負担になることに甘んじるのは行政の役割ではない。
まずこのような課題があったことすら知らされないまま、突然有料化というのは行政のとる手法にはふさわしくなく、こうした課題があるのでどうですか?とまず、市民や議会に投げかけ、対策をともに考える必要があります。有料化して市民に負担をおわせるやり方は認められません。ちなみに、新年度の図書館駐車場収入は3000万円余を見込んでいます。つまり、3000万円の市民負担を想定しているわけです。
今回、有料化する理由として市側の説明は、ア.公共交通利用促進 イ.近隣の渋滞緩和 ウ.長時間利用や目的外利用を防ぐ などあげていますが、有料化以外に対策はないのでしょうか。
ア.について
わたしも、金沢市がかかげる「歩けるまちづくり」は大賛成です。
ただ、それが有料化で解決するとは思えません。現実、まちなかデパートの地下へ入る駐車場、最初から有料化してますが、渋滞は起きています。このような問題も検証せずして、どうして安易に実行できるでしょうか?有料化は、逆に言えば、お金さえ払えば車に乗ってきてもいいという理屈にほかならず、市のまちづくり、交通施策とも矛盾します。
さらに、金沢市の公共交通は郊外や山手からまちなかに来るのが乗り継ぎも多く困難だと言われており、運賃も高い。さらにコロナ禍で減便や廃止されている路線があるなど、とても充実しているとは言えません。突然有料化したいがために、公共交通を持ち出すのは、都合がよすぎます。
イ.について
地域のお声があるとのことで、それは改善をしなければなりません。しかし、すでに出入口や動線の変更を予定しており、その実施を待ってからでも遅くありません。
ウ.について
図書館というのはそもそも長時間利用するものなのに、これを否定し始めたら図書館行政の否定につながると思います。目的外利用については、観光客や買い物客が使うと言いますが、今でも警備員の方が目を光らせていますし、もっと対策はとれます。そして、不適切利用者がいるからと言って、なぜ適正利用者に負担をおわすのか。発想がおかしいのです。不適切利用者への対策は行政がまず考えることであり、できないからと安易に市民にそのツケを払わすのは認められません。しいて言えば、もし有料化すれば、「代金払ったのだからいいでしょ」と目的外利用の方も使えることになりはしないでしょうか。
この投稿を書いているの今は、2月議会の常任委員会のあとです。
図書館駐車場有料化の予算や条例案が付託されている、教育消防常任委員会では残念ながら可決されてしまったようです。※ちなみに、この委員会には私たちの会派は入っていません。
この結果について、あした本会議で全議員の態度が問われることになります。
委員会での採決結果(可決)に〇なのか×なのか、各議員の態度を見ていただきたいと思います。