6月議会で、金沢市立病院が地域医療支援病院に認定されたことから、R5年10月から料金の改定があるということについて、条例の改正がありました。
わたしたちの会派では調査をかさね、この料金改定については反対をいたしました。
以下、概要説明や反対の理由など、ご報告いたします。
市立病院からのご案内
まずは、金沢市立病院がご案内している資料を見てください。
引用元:市立病院ホームページ
そして、市民福祉常任委員会で質疑もしましたので、その要約もあわせてご覧ください。
6月29日 市民福祉常任委員会の質疑
-広田委員
今回、金沢市立病院が地域医療支援病院に認定されたことで、市立病院の料金の改正があります。市民の負担に関わることなので伺います。
市立病院が地域医療支援病院に認定されるにともない、選定療養費の制度の対象となります。そうなると患者さんにはメリットなのかデメリットなのか、地域医療支援病院になってメリットのように見えるけれども、こういう新たな費用負担が発生するのでデメリットもあるのではないか。そこで、市立病院にとってはどんなメリットがあるのか、それが市民にもその選定療養費を上回るかたちでメリットとして還元されるものなのか、その点教えてください。
-市立病院事務局次長
今回、地域医療支援病院として承認されたということは、これまで市立病院が積極的に取り組んできました開業医との連携や救急医療などの成果が認められまして、県立中央病院や金沢医療センターと並ぶ地域の医療機関を支援していく拠点病院として市立病院が位置づけられたということで、まずこういうことがメリットにあると思っております。
また身近で日常生活に密着した診療を行う地域の開業医さんと、より専門的な診療が必要となる患者の診療を重点的に行う本院の役割分担が明確化されることで、地域住民に対し一層充実した医療が受けられる環境整備が図られ、結果として地域住民の健康確保・増進にも繋がっていくと思っております。引き続き私共の方が南部地域の拠点病院として地域の医療機関との外来機能の分担、連携強化をさらに進めまして、地域全体の医療の充実を図っていきたいと考えております。
-広田委員
間接的には、ひいては市民のためになるんだというようなご説明だと思いますけれども、では直接的に市立病院の経営にとって何か加算などメリットはあるのか教えてください。
-市立病院事務局次長
地域医療支援病院になったことで、診療報酬の点数加算というのがあります。これにつきましては地域医療支援病院として救急医療体制や診療体制の充実のほか、地域の開業医さんに対する研修、開業医等の支援を行いながら充実のための診療報酬点数の加算だと思っております。引き続き地域医療のさらなる質の向上に務めてまいりたいと思っております。
-広田委員
診療報酬の点数の加算は経営上は大変ありがたいものですけれども、逆に患者さんの点からみると自己負担分が増えるという場合もあるんですよね。その点はいかがですか。
-市立病院事務局次長
患者に対しても一部負担増になるということはあると思いますけれども、病院として医療の充実、患者さんのための設備投資とかいろんなものに使っていきたいと思います。
-広田委員
成果が認められた、そして地域の中で役割を明確化してより一層身近な病院と連携して患者さんの命・健康を守るというその方向性は間違いないとは思うんですけれども、やっぱりどうしても診療報酬の加算となると患者さんにも負担、かつ選定療養費の対象になってくるという点で、市民の理解が得られるのかという点は、しっかり議論をしておかなければいけないと思うんです。
それでこの、今回の選定療養費について具体的に伺いますが、子どもの医療費助成は、15歳までは外来では窓口負担500円までとなっていますけれども、もし初診で来られたらお子さんでも容赦なく7,700円かかるということでよいですか。
-中宮市立病院事務局次長
子どもさんにつきましても、まずは開業医さん、かかりつけ医の方でというかたちになりますので、ここの部分についてはかかってくることになります。
-広田委員
そうなんですよね。再三本会議でも、本当に今少子化対策待ったなしで子どもへの支援をと言っている中で、市の方向性としては矛盾することも起きるということ。そして救急搬送についてはかからないんだというふうに明記されていますが、一応確認ですが、休日や時間外に救急車でなくても救急外来を受診したとき、このときも支払いが必要なのかどうか、お願いします。
-市立病院事務局次長
休日夜間の受診者のうち、救急医療に関するものについては対象外となっております。
-広田委員
その点はぜひしっかり周知をしてほしいと思います。また、他病院ではやっているんですけれども、救急外来や救急搬送されたとしても入院に至らない場合は取るんだというところも見受けられるんですが、金沢市の場合はどうしますか。
-市立病院事務局次長
救急車で搬送された場合にはかかりません。法律で定められているところで、取ることができるものとそうでないものがありまして、市立病院については義務化されているものだけを取ることにしております。
-広田委員
最後におっしゃっていただいた、法律でどうしても義務化されている部分だけではあるけれども、先ほどいったお子さんの医療費とか、どうしても初診でしか来られないんだという人に対してはやはり取らざるを得ない制度であるということの確認ができたかと思います。
と、地域医療支援病院の認定というのが発端なので、そのあたりの質疑と診療報酬の加算は患者さんにも負担だという点、選定療養費の点についてやりとりしました。
というわけで、最後に反対の理由を述べました。
まとめ
議案第6号 金沢市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について反対です。
本市の市立病院が地域医療支援病院の承認を受け、非紹介患者の初診加算料を現行の1,100円から7,700円に値上げ、再診について新たに3,300円を徴収するものです。
これは、選定療養費という受診者への追加負担であり、平成28年に義務化されました。もともと大病院にかかった場合、紹介状なしの初診に 5,000 円以上、再診で2,500円以上の追加負担というものでしたが、2020年に、この大病院の対象が、それまで「特定機能病院と許可病床 400 床以上の地域医療支援病院」だったものから、「特定機能病院と一般病床 200 床以上の地域医療支援病院」へと拡大されたこと、そしてその額が昨年10月から初診で7,700円、再診で3,300円に値上げされたことで、今回、本市の市立病院にも義務付けられるものです。しかし、初診や再診は起こりうる場合も想定され、これは受診者にとって大きな負担増となります。そもそも、この制度は、保険給付で受けられる診療に、差額徴収となる選定療養を持ち込むことで、患者さんに健康保険外の負担を求めるもので、わが党は 2016 年度の制度導入時から反対してきました。本制度には社会保障費削減の狙いがあり、だれもが、いつどこでも安心して受診できる医療保険制度そのものを後退させるものです。よって反対です。