金沢市の保育ニーズに対する施設整備などの方針についてまとめてみた。
平成27年7月24日 子ども・子育て審議会から
事業計画における量の見込みと実際のニーズにかい離がある状況であり、①分園・増築
②①をしても28年度利用調整で不足すれば、保育所の新設を早急に検討する。その際に
は、1次利用調整時の不承諾数をめどに確保してはどうか。
28年度申し込みの不承諾状況
1次申し込み結果↓
2次申し込み結果↓
平成28年3月28日 子ども・子育て審議会から
①保育所等の新設の可否については、1次利用調整時の不承諾数を目途とする考えも
あったが、2次募集でほぼ利用調整できたことから、2次で不承諾となった数を確保す
る。
②西部地区で、不承諾数が20人と最も多いので、さらに分園・増築・部屋の転用を働き
かけ、約20人規模の定員増をめざす。それでも困難なら改めて新設を検討する。
→28年度のはじめ、こうして新設は先延ばしになったが、結局29年度は下の表のとお
り、28年度よりもさらに不承諾数が増えた。
29年度1次申し込み結果↓
29年度2次申し込み結果↓
そこで、29年3月の審議会では以下のポイントで保育の確保策が整理されたうえで、今後の取り組み方針が出された。
①保育士の確保について
保育士の人材不足が、受け入れ児童数の伸びを抑制している要因となっている。
よって、潜在保育士の雇用促進や養成校の新卒者の地元定着など、人材確保に向けた積極的な施策が必要。
②保育士配置基準の見直しについて
国は各自治体に対し、「待機児童の状況を勘案しながら、国の定める基準を上回る部分を活用して、各保育所等において一人でも多くの児童が受け入れていただけるよう、取り組んでいただきたい」(平成28年4月7日付通知)。そこで1歳児の国の配置基準6対1を上回る本市の5対1の配置基準を緩和することが考えられる。
③増築・分園の推進、新設の検討
分園等により低年齢児の受け入れ人数を増やした際、学齢が進んだときの年齢構成がばらつくことで運営のやりにくさも聞くこところであり、施設の新設の可否も検討する必要がある。
④企業主導型保育事業について
自治体の事業計画によらず施設設置が可能で、定員の半数まで地域枠として従業員以外の児童の受け入れも可能となっている。
※市内で29年度運営開始は5事業所
- 今後の取り組み方針
①保育士確保策に向けた方策
・県外に人材が流出しないよう、養成校に対し市内各施設の状況をアピールする。
・若者が地元定着につながるよう特に経済面からの支援策を展開する。
・復職に向けた研修
②新設を含めた施設整備の検討
・南部、北部、駅西・臨海Aの各地区は、分園・増築で対応。
・東部や駅西・臨海Bは利用定員が足りてないが、2次不承諾数が20名以下であり、新設は要検討。
・西部地区においては、増築・分園による整備に並行し、施設の新設に向けた準備を進める。
→広田まとめ
若い保育士への経済的支援や、新設に向けては準備を進める段階になったことは、これ
まで議会で議論を重ねてきた流れであり、成果と言える。
しかし、27年度の審議会で、28年度の1次申し込みの結果をみて新設の検討もすると
していたことからすると、28年度の申し込み結果で不承諾が増えた結果に真摯に向き合
うべきではなかったか。もし、ここで新設の準備がはじまっていれば、29年度のこの事
態を防ぐことができたかもしれない。
しかし、それにしても保育士の資格はあっても職に就かない方が多いことからすると、保
育園をつくることと同時に、給料の大幅な引き上げは喫緊の課題であると言える。
方向性としては具体化されなかったが、論点整理の中に、国からの基準緩和通知のこ
とが触れられていることに不安を覚える。し、保育士の仕事が給料だけでなく、過密労働
であることも指摘されていることからすれば、現場をさらに苦しめることになる。
今後も引き続き、金沢市が守り高めてきた保育水準を引き下げないよう求めていきたい。
そして、前回の記事でまとめたけれど、市のまとめた利用調整状況が、金沢市の保育ニー
ズのすべてを表しているとは言えない。もっと視野を広げて考える必要がある。