特別会計についての質疑 10月21日 午後
-広田議員
まず、国民健康保険について伺います。30年度はご存じの通り都道府県化された年であり、都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となり、区市町村とともに国保の運営を担うという制度に変わりました。本市でもはじめて県から示された標準保険料をもとに保険料を決めたということですが、予算上では基金を1.8億円繰り入れて調整する予定だったと思いますが、それはどうなっていったのか。そしてその標準保険料から比べて最終的にどのような保険料にしたのか、明らかにしてください。
-西川保健局長
30年度当初予算においては、新たに財政運営の主体となった県が提示する標準保険料率にできるだけ準拠しつつ、一方で市民生活への影響に配慮するため、保険料率の一部を前年度に比べて引き下げを行っています。それにより生じた保険料収入額の不足分については、基金から約1.8億円の繰り入れをするとの措置によって補填することとしました。一方、30年度決算の時点になり、29年度の繰越額というものが10.8億円生じたこと、そして保険料の収納率が上がったことによりその収入額が増えたということ、また県から医療費の支払いに充てるため交付金というものが30年度から支払われるようになったのですが、その交付金の収入見込みが増えたこと等々により、結果として基金からの取り崩しをして補填する予定だったものが逆に、3月補正により5.1億円基金の方に積み増しをし、そしてそれ以外に31年度への繰越金というものが1.2億円生じるというような決算状況になっています。
-広田委員
今回も1.8億円予算で組んでいた基金の繰り入れはしなかったということになるかと思います。結果、保険料収入では5.6億円減ったということになりますが、先程前年度に比べ一部引き下げたということもあって、その影響かとも思うのですが、被保険者の減少もかなりありますので、どの要因が影響を占めているのか明らかにしてください。
-西川保健局長
保険料収入については、29年度の決算と比較して約5.6億円減少しています。この主な理由としては、29年度と30年度の被保険者の平均を比べると30年度の方が約4000人減少しているということ、この影響額が約4億円程度あるということです。それ以外にも保険料率引き下げの影響が若干あるというような状況です。
-広田委員
都道府県化で標準保険料が示されて、それに準拠する形で保険料を設定し、結果としては被保険者の減少で保険料収入が減り、保険料そのもので減った要因はわずかだと。つまり市民の負担はあまり変わらなかったというふうに捉えています。さらに今回、都道府県化になって初めての年なので、会計のご説明も受けたのですが、やはり歳入歳出を見ても29年度まではあった費目がなくなる等、がらりと姿が変わっています。金沢市の財布は特別会計は厳しいと言ってきていますが、国庫や県からの支出金がどれほど入ってきたのかというのが重要かと思っているのですが、その見方が難しくなっているので、国庫支出金や県の支出金が都道府県化によってどのようなやりくりで入ってくるようになり、それは都道府県化によって額が増えたり減ったりということはあるのかどうか、明らかにしてください。
-西川保健局長
まず、都道府県化に伴い国の補助が日本全体で1700億円増えています。従って、金沢市の国民健康保険の方にもその人数に応じた額が入ってきています。都道府県化により決算等々の費目が変わって非常に見にくいということになるかと思いますが、29年度までは各市町の国保に算入として国庫支出金とか支払基金からの補助金、国保連合会からの交付金といったものが入ってきていまして、これらとそれから保険料等を財源としてそれぞれ市町の国保が保険給付費や拠出金というものを払っていました。それが30年度からは国が財政運営の責任主体となったことから、県の方に新たに国民健康保険特別会計というものが設けられ、国の補助金や他の団体からの交付金、他の団体へ拠出するお金というものが県の特別会計の方に入るという形になっています。従って、現在金沢市の国保の方は医療費については県からの交付金で全て賄い、そしてその県からの交付金の財源の一部として県から示された国民健康保険納付金を支払っているという状況になっています。
-広田委員
その中で、30年度からは県の支出金を通して国庫支出金が入ってくるということになっています。大変見えにくくなっていますが、29年度は100億円あった国庫支出金が、30年度はいくら実際は来ているのか、そしてその額は全体の歳入の何割なのか明らかにしてください。
-西川保健局長
その数字については現在持ち合わせていませんので、後日改めてお示ししたいと思います。
-広田委員
お聞きしたかったのは、国がどれだけ地方に対して責任を果たしているのかということなのですが、制度改悪が進んで国庫支出金の割合がどんどん下がってきていると。さらに都道府県化ということで、県と市町で何とかしろというような制度になってきている。その全体像を浮かび上がらせたかったのですが、またよろしくお願いします。
この都道府県化によってさらに、市町で黒字を出すには保険者努力支援金というものが主なものとなるのですが、これは絶対的な評価ではなく相対的な評価であって、各市町全体が頑張ったらそれ以上に頑張らないと分配が来ないというような大変難しいものとなっています。さらに県が運営主体となることで、国が責任をもつべきなのに先程言ったようにいくら来ているのかもよくわからないということになります。県が県全体の保険給付費などを考慮して標準保険料を提示し、納付金を求めるという県と市町でなんとかしろというような制度になってしまったというものです。繰り返しになって申し訳ないですが、国庫支出金が減らされているという背景が続いてきている中で、やはり構造的な問題として、この都道府県化が始まってからも国に責任を果たすよう求め続けてほしいと思うのですが、その考えは引き続きあるでしょうか。
-西川保健局長
高齢化の進展に伴い、1人当たりの医療費というものが増え続けています。従って国保の財政というのは今後も厳しい状況にあるというふうに認識をしていますので、これまでも全国市長会や国民健康保険中央会の方に国庫補助の増額等の抜本的な財政措置についてお願いをしてきたところではありますが、引き続きそういった団体等に対して要望していきたいと思います。
-広田委員
よろしくお願いします。
質問が戻りますが、市民の負担についてということで、基金も使わずに30年度は黒字を出すことができたということでは、やはり最初の保険料設定で基金を入れてでも保険料をもう少し低く抑えることができたのではないかと、結果論になりますが思っているわけですが、その点についてはどうお考えかということと、もうひとつ、30年度の滞納状況と資格証明書の発行状況も聞いておきたいと思います。
-西川保健局長
資格証明書は、30年度末で821世帯に交付されています。滞納については、30年度末で滞納繰越額として約17億円という形になっています。世帯数としては約1万1000世帯です。
-広田委員
滞納は依然として続いていて1万1000世帯、資格証明書というのは、それを出されるとそれを持って医療機関に行っても10割払わないと医療が受けられない、金沢市は命優先ということで短期証への切り替えを現場レベルではやっていただいていますが、受診抑制になっていることは間違いないので、やはり払える保険料にするということをモットーにしていただきたいなという点で、保険料をなるべく安くということが求められてきたわけです。今回初めての都道府県化の年ということで、標準保険料率が示されてそれにどう向き合うかということで、大変御苦労されたかと思います。ただ一部引き下げはあったものの、ほとんどの方は高い保険料負担のままだった。そして蓋を開けてみれば基金も使わなくて済んだし黒字も出せたということでは、もっと早くしっかり交付額の見込みをつけて保険料を下げることもできたのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
-西川保健局長
医療費というのを見込むというのはなかなか難しいことでして、どうしても決算をしてみると乖離が生じるということがあります。その点はご理解をいただいたうえで、今回のように黒字が出て基金も積み増してきているという中での保険料の引き下げというようなお話かと思いますが、冒頭にも申し上げましたが1人当たりの医療費というのはどうしても高齢化の進展によって今後も上がっていくと予想される、そうすると今回の黒字であるとか基金というようなものについては、今後の保険料がさらに上がっていくときの上げ幅を抑制するということの方に使いたいと私どもは考えています。
-広田委員
基金の使い方としては、ここ何年も「今後のために」と言って積み上がってきている状況なので、この30年度の機会に下げても良かったのではないかと考えています。31年度からはそれがさらに本格化していきますので、市町での努力も求められるところですが、国にも全国市長会としても1兆円の財源をと求めているところですので、頑張っていただきたいなと思います。
次に介護保険に移りたいと思います。30年度は第7期の保険料改定の年でした。令和2年までの3年間の保険料が新たに設定され、今回大幅に引き上げされたわけですが、まずは30年度において市民の新たな負担となった保険料収入は前年度からいくら増えたのかということ、また1人当たりにすると標準保険料はいくら上がって、中核市で高い方から何番目の保険料になったのか、あきらかにしてください。
-山田福祉局長
平成30年度から3年間の第7期の介護保険事業においては、被保険者数・認定者数の増加などを踏まえて3年間の収支を試算し、第7期の保険料の基準月額は6590円としたところです。第7期1年目となる平成30年度の保険料の収入総額は91億4000万円を計上し、前年度比6.7%の増となっています。なお、第7期の介護保険料基準額は中核市54市中においては高い方から8番目ということです。
-広田委員
本市の介護保険料は第4期・5期・6期と引き上げが続き、30年度の第7期では新たな段階区分も設けて引き上げされ、制度開始当初からほぼ2倍の保険料と上がってきています。中核市で48市中8番目という高さまで上がってきているのが実態です。65歳以上の第一号被保険者はただでさえ、年金暮らしで国の統計でも生活が苦しいと過半数の方が答えているわけです。しかも、保険料が高いということもありますが、サービス利用の自己負担額も増えている状況ですが、これらの市民の負担についてはどのように考えているでしょうか。
-山田福祉局長
介護保険料については、高齢化の進行等によるサービス給付費の増加に伴い所要の改定をこれまで行ってきたというところです。第7期の改定にあたり、消費税率の引き上げ分を低所得者の負担軽減に充当し、第1段階の保険料月額を引き下げたほか、介護給付費準備金を全額活用することにより引き上げ幅を最小限に留めるなど、負担軽減に努めてきたところです。
-広田委員
本市としても引き下げる努力もしたということですが、今回そもそも保険料を上げた理由は、今お答えがあったように給付が増えれば保険料も伸びるといったような状況があると思うのですが、30年度の給付の実績はどうなっているのか、そして29年度から総合事業も開始されていますので、併せて実績をお答えいただければと思います。
-山田福祉局長
平成30年度の介護給付費の実績ですが、利用件数は38万8000件、金額で約338億円ということで、こちらの方は前年に比べて若干減少していますが、一方、今ご指摘がありました介護予防・日常生活支援総合事業においては、これは29年度から始まったわけですが、こちらにおいては利用件数5万7000件、サービス費用額で13億2000万円ということで、こちらは大幅に増加しています。これらを合わせた合計については、利用件数・金額ともに前年度より増えているという状況です。
-広田委員
総合事業というのは、これまでは介護認定していた方を簡易なチェックを用いて要介護認定はさせない仕組みであり、予防して給付費を削減しようということで、国の考えとしては費用を抑える仕組みなのだと理解していたわけですが、今のお話で給付費は増えたということがありましたが、総合事業が入って財政上の変化はどのように見ているのでしょうか。
-山田福祉局長
総合事業は介護予防と日常生活の自立支援をすることを目的として平成29年度から開始されたということで、サービス利用者は昨年度、大幅に増えたという状況です。これらの理由としては高齢者自らが介護予防ということへの意識の高まりがあったということに加え、手続きが若干簡素化されたということが要因かと思っています。今後は、なかなかこのあたりは難しいところですが、制度開始して2年ということですので、今ほど申し上げた介護保険特別会計全体にかかる影響については今後の利用実績等を踏まえながら検証していかなければならないものだというふうに理解しています。
-広田委員
介護事業と総合事業があって、介護の方は事業費が落ちたけれども総合事業の方が増えて、結局合わせていると増えていると、保険給付費は伸びているということになると思うのですが、そもそも高齢化社会においていくら総合事業を入れてもなかなか構造的な問題の中で給付を抑えるというのは至難の業だと思います。さらに総合事業というのは認定もしないという、一見楽なようですが現場では混乱も広がっているなど、細かい問題もあります。そういう構造的な問題がある中で、30年度の決算を見ると、収入では3億円の黒字、また支出面でも保険給付費が予算規模を10億円近く下回っていて、実質収支が12億円の黒字となっているわけですが、その点についてはどのようにお考えですか。
-山田福祉局長
推計により予算を算出したということで、幾分想定よりも実際の利用が少なく歳出が減ったというふうに理解をしています。
-広田委員
かなり予算では余裕を持ってみているということかと思うのですが、トータルしてみてみると翌年度返還する支出金や交付金などを除いても5億5000万円の黒字となっていて、しかも基金も13億円まで積み上がっている状況です。先程の国保の話ではないですが、それらの点からすると30年度に本当に5億7000万円もの保険料の増加が必要だったのかという検証が必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。
-山田福祉局長
30年度は実質5億5000万円の黒字ということですが、その理由としては平成29年度のサービス給付費の減による剰余金を30年度に繰り越したということのほか、国の方が介護予防の強化推進を目的に介護保険者機能強化推進交付金を新設したことなどにより歳入が増加したということが要因だと思っています。なお現在の介護保険料については、平成30年度からの3年間の給付費を推計し、かつ、当時の基金を全て活用することにより算定したということですので、ご理解いただければと思います。
-広田委員
ただ保険料はやはり高いということで、市民は苦労しているわけです。不能欠損額が7000万円、2800件とありますが、その原因としては65%が生活困窮だというような指標が出ているわけです。不能欠損は滞納状態の末路とも言えると考えますので、やはり高額な保険料や生活状況によって払いたくても払えないという方が多いのではないかと推測をしています。その点はいかがでしょうか。あわせて30年度の滞納状況と給付制限の件数もお答えください。
-山田福祉局長
介護保険第1号被保険者の収入未済額・滞納額については、1億8000万円余の水準があるというわけですが、それについては可能な限りの収納につとめているところです。なお、平成30年度末の介護保険の滞納者については約2700名と把握しています。また介護保険料を1年以上滞納した場合、保険給付の償還払いや保険給付の減額など、給付制限を段階的に措置するということになっていますが、平成30年度末時点でのこの措置の対象者は40名となっています。
-広田委員
全国的にも、滞納者数や給付制限が過去最高になったという報道が今年ありましたが、払える保険料にするということをまず本市でも努力してほしいと思います。払えないと給付制限、サービスを受けられないというペナルティがかけられるということですから、本市の納付率の問題もありますが、利用者一人一人の生活がかかっているということをぜひお考えいただきたいと思います。ただ、やはり超高齢化時代に介護保険制度の仕組みがこのままでは、給付が伸びて保険料が上がるということが繰り返されていくわけです。おまけにいざサービスを受けようと思っても、特養ではすでに対象者が絞られたので入れないとか、利用料が高すぎて受けられないという、何のために保険料を払ってきたのかと市民が怒るのも当然だと思っています。よって、この構造的問題を解消すべく、介護保険についても国に責任と負担を求めるよう要望したいと思いますがいかがですか。
-山田福祉局長
介護保険、国の制度であります。国の方においては今回、消費税率の引き上げによる財源を活用して介護保険の軽減措置を市民税非課税世帯まで拡充したところであり、本市もこれに即した軽減策を実施しているところです。なお、全国市長会においては、低所得者に対する介護保険料や軽減対策等を国に対して要望しています。本市としても引き続き国の動向というものを注視していきたいと思います。
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-広田委員
市街地再開発事業費について聞いておきたいと思います。ライブ1とリファーレに保留床が残っているわけですが、なかなか売れない状況ですし、今は貸しているのだと思うのですが、30年度は確か1回抜けたところがあるというふうに伺っていますので、30年度のまずは貸付収入・状況はどうだったのかということ、そしてこれは一般会計に繰り入れているわけですが、やはり売るということは今でもしっかり方針に位置付けているのか、再度確認をしたいと思います。
-木谷都市整備局長
まず平成30年度リファーレ第五工区の方ですが、こちらについてはほぼ100%、一時期テナントの入れ替えといったようなほんの少しのタイムラグはありましたが、ほぼ年間を通してテナントさんに貸し付けを行っているという状態であります。一方、もうひとつの第一工区、ライブ1の方については、1階2階は100%埋まっていますが、地下1階のところで1部屋分空きがあります。こちらの方についても一生懸命募集をかけているところです。それが平成30年度の状況であります。貸付料については、ライブ1の方が30年度で430万円余、リファーレの方が1970万円余という形になっております。こちらの方はほぼ100%で来ている中で、テナントさんの入れ替え、もしくはいろんな機会を設けて、昨今地価も持ち直していることもありますので交渉していく中で、賃料で少し見直しをしていただいたりとかということで、微妙に収入としては多くなっていますが、基本的にはだいたいこの金額でほぼ推移してきていると思っています。床自体については、今現在まだ償還も終わっていないということもあり、少なくともそういったことが終わるまでは市街地再開発事業については令和8年でこの会計を設けたときの起債の償還という話がありますので、まず少なくともそのあたりまではひとつの会計の形としてこの床を保有するというのが基本方針にはなっていると思っています。
-広田委員
保有するといってもライブ1の地下がずっと埋まらない状況で、結局収入より繰り入れしている部分が多いという状況ですから、なんとか税投入が少しでも減るようなやり方を模索していただきたいと思います。