2月8日(土)の地元紙1面に「22年度に民営化」と題し、「金沢市は7日までに、公営ガスと発電の2事業を2022年度に民営化する方向で調整に入った」と報じています。
しかし、
議会としては期限を区切った話しは聞いていないし、第一まだ議会に上程されていません。市長が検討会に諮問をし、検討会が開かれ答申が出され、パブリックコメントが実施されて結果が発表されたところです。
市民の方から「もう決まったんやね」とか「水道も民営化だって」というお話もいただきますが、まず今回は水道は対象ではないし、「ガス・発電事業」についても決まっていません。
3月議会が重要
3月3日からはじまる3月議会は1年の方針や予算が出される議会ですが、そこで市長がなにかしら表明をするのだと思われます。
ただ、新聞記事が1面に報じ、パブコメの結果の出し方をみても、市が早く進めたいことは明らかです。
しかしまずは市民の財産、そしてライフラインとして、市民的議論が必要です。
なのに!!
市長は市としての説明会も開かないというとんでもない方針です。
こんな意見もあります
そこで、市民の会など市民団体や大学などが動いている。
2月8日には、金沢大学のゼミの先生が学習会を催してくださった。
以下のそのメモです。
2・8 金沢大学地域創造学類 環境経済論ゼミ 公開講演会
「自治体エネルギー事業の未来を考える」~太田正氏(作新学院大学・名誉教授)~
たたかいあうと、最後は1社独占になる
余分なものを省くために独占を認め、政府によって規制をする。
それが独占禁止法の除外となってこれまですすめてきた。
自由化はそれをコンビニと同じようにすること。アンハンドリング
ハンドリング全体のシステム:川上から川下を切り分けて独占市場を解体するもの
80年代以降すすめられたもので、プラスのこともあるが、世界的には大市場の再編成 と格差拡大
民営化というのは市場をどうするかという話し
この間、国家公務員などを削減し人材不足に 管制市場の民営化がすすめられた
公的主体→民営主体 フランスは民営化しても株式は80%もっている
自由化=民営化ではない 自由化でなくても民営化する場合もある
やり方の問題 規制だけが撤廃されたらどうか 規制なき民営化となる
自由化後、ガス会社は7社 電気の1/10 ガスは卸売り事業が未整備 導管がない 安全性が担保できない 営業だけでは飛び込んでいけない 電気とは違うこれら特有の事情がある
自由化は競争によって価格が下がるが、むしろイギリスでは価格が上がった
LPガスの場合、値下げ競争は起こらなかった
地方公営企業については条例で規定されている
管理者制度 行政組織内で相対的独立をしている 土地を買っても市長ではなく管理者名
スト権は認められないが、労組をつくって団交もできる
一方、経営不振の場合は管理者をくびにもできる
金沢市は一体経営をというが、今も一体経営している
いろんな経営形態があるが、現状では議会の議決がいるし、市民の直接請求もできる
株式会社に譲渡されれば、それがなくなり、株主のコントロールになる
今回は「公社、3セク」の提案
これまでも、リゾートに自治体が悪乗りし、結果、自治体がしりぬぐいをした
今の金沢市のガス・発電は、経営状態良好 民間ガス会社の利益率よりよい →買ううまみがある
新規参入は、今はないがこれから起きると市は言っている
民営は付帯事業ができるとしているが、具体的に国会でもあきらかになっていない
民主党時代に、海外に事業を展開できると言った それくらいしかない
ガスは多く使えば割安、家庭用240円/㎥、業務用114.8円/㎥
民営化すれば、議会と住民のガバナンスが効かなくなる だれがコントロールするのか
株主の顔色をうかがうものになる
1年2年もてばいいというものではない
公的インフラは利益原理だけではない
「せっそくではないか」という印象
【質問】
・水素発電についてはどうか ガバナンスについて
中山さん:発電技術自体はあるが、発電よりもFCV
太田さん:
経営形態ごとにガバナンスは違う。100%市が出資したとしても変わる
請求権、議会関与もなくなる 予算決算の議決もない
トップダウンの経営ができる反面、市民から手が届かなくなる
住民自治はどう担保されるのか、組み込まないといけない
・出資の割合について
中山さん:ケースごとに違うが、株主総会でさいごは決まる
100%が一番よいが、偏りも出てくる
・ドイツでは公共交通もガスも発電もいろんな分野が一緒に計画されているのはどうしてか
中山さん:
ミュンヘンでは、公共交通機関もガス・発電もミュンヘンが責任をもっている 赤字が出ても他の事業で補填できる 地元企業との協働も強い
・12月議会の傍聴では、市は市民のメリットがあるというのを強調していたが、価格と供給の安定性は本当にあるのか。メリット・デメリットは。
太田さん:
経営的な努力、力量の影響も大きいが、本来絶対的な信頼をもって委ねるというのはおかしい。そもそも万能の経営はないし、経年劣化や事故もある。 そのとき、どんな合意形成のうえで行うのか。 経営優先ではなく、市民の利益優先にできるのか。 それが議会の仕組みの大事さ、それがあるかないかでお任せにならないようにできる。
民営化でも条件を決めるだろうが、将来を維持できるかどうかわからない
市が100%出資しても市や議会は間接的になることは変わらない
中山さん:
公営企業の役割として安定供給がある 再公営化するのは時間も負担もかかりロス
・今朝の北國新聞で報道されたが、こんな中で市民運動がすすめられるのか 100年後に子どもたちから質問されたら答えられるか
太田さん:
市民運動の質や継続性がためされる 公営企業はお客様扱いをしているが、もっと自分の財産だとお乗って身近なものとして考えてもらいたい
5事業が統合されているということは、地域基盤、まちづくりとして展開できるということ
市の背中をおしてあげることが必要
黒字5事業からなぜ切り出して、民間にして大手を参入させていくのか 切り売りするのか
中山さん:
水力発電は打出の小づち、ガスも有料事業 これを安々と売り渡すほど、金沢市はお人よしではないだろうと思っていた
市原さん:地球の温暖化はこの10年でなんとかしていきたい そのひとつの取り組みとしてもらいたい
ガス・発電を手放せば、エネルギーの主体から外れるということになる メモは以上
私が、議員として印象的だった言葉は次の通り。
太田先生がおっしゃった「事業にとって経営的な努力、力量の影響も大きいが、本来絶対的な信頼をもって委ねるというのはおかしい。万能の経営はないし、経年劣化や事故もある。そのとき、どんな合意形成のうえで行うのか、経営優先ではなく、市民の利益優先にできるのか。それが議会の仕組みの大事さ、それがあるかないかでお任せにならないようにできる。市が100%出資しても、市や議会は間接的になることは変わらない。」
ライフラインが、なぜこれまで公営として任されてきたのか、それは競争原理ではなく、市民の命と安全が最優先だから。その仕組みとして、市民の代弁者である議会の議決が必要だし、市民の監査もできるようにしている。
市民はお客様ではなく運営主体である。その運営主体として、公営である意味を今一度、わたしも具体的に学習し再確認していきたい。