9月15日 一般質問
金沢市議会議員 広田美代
質問の機会を得ましたので、共産党金沢市議員団の一員として以下数点にわたり質問を致します。
① こども医療費について
まず、はじめに子どもの医療費助成についてです。
いよいよ10月から市民のみなさんの強い要望であったお子様の医療費助成の年齢拡大が実施をされます。こうした中で中学校卒業まで完全無料化を求める県民・市民の期待もますます膨らんでいます。 そんな中今月7日、谷本県知事が県議会での補助金要綱改正を求める3つの請願に対し県議会に見解を提出しました。 その内容は「国の動向を注視する」としか書かれず、補助金要綱の改正については一切触れられていません。 石川県の補助金要綱は、各自治体が独自にその助成方法を「償還払い」から「現物給付」すなわち「窓口無料化」にしようとすると「県からの補助金を打ち切る」という、金沢市にとっては窓口無料化の足かせとなっているものです。 全国ではすでに「国の動向」に関係なく、全国36都道府県で「現物給付」 を施行しており、医師会・保険医協会・県議会や県の市長会でも、窓口無料化を求める声があがっています。
市長。市民が窓口無料化を望んでいる中での今回のような県の対応についてどのようにお感じになっておられるでしょうか。 また、本市独自で窓口無料を実施するというお考えはないのでしょうか。 本市で窓口無料化を実施ししたとすると一体どれくらいの財源が必要になってくるのでしょうか。この際明らかにしてください。
また、昨日の市長のご答弁の中で、窓口無料化にすると「コンビニ受診が増える」ありましたが、一般的に言われている「軽症の方が気軽に病院に行くようになる」ということを指すのでしょうか。であれば、市長もお子さんをおもちならお分かりかと思いますが、少しでもお子さんに変化があれば不安でたまらず「病院に連れて行きたい」と思うのが親心ではないでしょうか。また私の病院勤めの経験からも「ただの風邪かと思ったら肺炎で手遅れ」なんてことは防ぎたいわけです。そのためにも気軽に病院にかかれることの方が大事なのではないかと思いますが、市長の真意をお伺いいたします。
② 国民健康保険
次に、国民健康保険についてです。
みなさんご存じの通り、国民健康保険制度ができたのは、1938年。 多くの人々が、貧しさ故に病気になっても医療費が捻出できず受診できないことから、その医療費の重圧を回避するために、制度が制定されました。 当時、収入の50%以上が病気の治療にあてられていたとの記録もあるほどで、田舎の村では医者を呼ぶのは死ぬ時であり、それは死亡診断書を書いてもらう必要があったからだそうです。
このように、貧しくて医療が受けられない方のためにできた制度が、今どうなっているのでしょうか。 本市では、市内国保加入者64,851名のうち20%近い12,226名が保険料を滞納しています。その多くが売り上げ減少や倒産、解雇、廃業、病気で働けないなど、個人の力では解決できない「払いたくても払えない世帯」です。 また保険料を1年間滞納すると発行される資格証明書も、1,261件にものぼります。 全国保険医団体連合会は、資格証明書を発行された方の受診率は一般被保険者の73分の1に抑制されると報告。 全日本民主医療機関連合は、国民健康保険の保険料を滞納して「無保険」状態になったり、保険証は持っていても医療費の自己負担分を払えなかったりして受診が遅れ亡くなった人が昨年、24都道府県で71人に上ったと報告しています。 私も看護師や保健師で働いていた際、そのような方を目の当たりにしてきました。
先日、国保をよくする実行委員会が無料電話相談を行ったところ、多くの 相談が寄せられました。 「母と二人暮らし。わたしは病気で働けず、母の収入のみ。保険料は滞納し短期資格証明書が発行されているし、医療費も滞納し分納で払っているが今後が心配。」という方や、「夫が病気で退職し、私はパート。8万円から10万円の収入から2万近くの保険料を払い、自分も病気なので窓口で月2万近く払っている。」という方、「自営業で、所得が5,6万円しかなく保険料が払えず資格証明書になった。歯医者にかかりたいがどうしたらいいか」という切実な相談ばかりでした。 みなさん病気を抱えていたり、経済的にひっ迫している方ばかりが国民健康保険料を払えず、受診も抑制されているのです。 このような中、国は健康保険の広域化をすすめようとしています。 その流れの中で本市でも国民健康保険料の計算方法を市民税所得割方式から旧ただし書き方式へ移行するということがいよいよ目前に差し迫ってきました。
そこで、平成25年度より移行する旧ただし書き方式についておたずねいたします。 まずは旧ただし書き方式とはどんなものかご説明ください。 今回の補正予算でもその準備に向けて、4億もの予算がくみこまれていますが、どのような準備に当てられるのかご説明ください。 そして、そもそもなんのために旧ただし書き方式へ移行するのかということ を考える必要があります。 担当部署にお聞きしているところでは、「税制変更の影響を受けにくく、保険料が安定する算定方式であり、中間所得者層に負担が偏らず幅広い世帯が負担する」のがメリット。 デメリットは「低所得者層に負担が高くなる」とお答えいただきました。 まとめると、「計算が楽になるが、広くおしなべて負担が広がり、特に低所得者層に負担が高くなる」ということです。 そこで、旧ただし書き方式になって保険料がどの程度変わるのか、岡山市と 比較してみました。 一般的な4人世帯で所得230万円の場合、月額にして本市では16,000円の負担が、岡山では35,800円。さらに障害のある方がおいでると、金沢では15,000円ですが岡山では同じく35,800円と変わりません。 岡山のような旧ただし書き方式では、税法上は控除される扶養控除や障害控除も考慮されない方式であるということになります。 東京23区は3月から旧ただし書き方式が採用されましたが、都内63歳の 男性は内部障害3級の57歳の奥さんと二人世帯。 税法上は非課税で、保険料は年額2万8,000円でしたが、今年から9万9,000円と約3倍にはねあがりました。 このようにすでに支払いが困難な低所得者に、税法上の考慮も全くなくし、 さらなる負担を押しつけることにもなり得ますが、本市はどう考えておられますか。モデルケースなどで試算はされているのでしょうか? 今後、他都市同様、徐々に保険料を引き上げるなどの激変緩和措置を考え ていくことが想定されますが、そもそも払えない額に少しずつ近づけても払えないのは目に見えているのではないでしょうか。
たとえるなら、いつも40度のお風呂にはいっている者が突然50度のお風呂に入れと言われても無理なので、41度、42度、43度と、徐々に温度を上げていけば50度のお風呂でも入れるだろうというがごときものです。 しかし、そもそも50度の高温につかっていることは物理的に無理なのです。 激変緩和措置ではなく、そもそも低所得のみなさんでも払える金額にすべき ではないかと考えますがいかがでしょうか? そのためにも国の国庫負担が50%から25%に下げられた結果、保険料があがってきているということに対して、国へ国庫負担引き上げを重ねて強く要望してください。
③ 市営住宅について
次に市営住宅についてお伺いを致します。 市営住宅は、給与水準に応じて家賃が決まるため低所得者でも入居でき、被災したときや離職をよぎなくされたとき、DV被害者などが優先的に受け入れてもらえる、市民にとっては信頼と安心のおける住まいです。 本市は16団地3,439戸所有し、現在3,131戸が入居されており、33戸は被災者の方も入っておられると伺っております。
国が公営住宅を減らす方針の中、本市が直営で管理運営していくことは公 営住宅の制作をすすめて行くうえで評価すべきことです。しかし、倍率が高いことが気になります。 入居に関しては、毎年4回入居者募集を行い、抽選によって入居者を決めますが、平均倍率は3.数倍。しかし団地ごとに見ますと、募集戸数が1桁のところに申し込みが殺到し20倍や30倍になっている。一方、2桁の募集があっても人気がないところもあります。その開きのもとでの3.数倍です。 全体で3.数倍であっても決して低いとは言えず入居できない方がいるのが大勢おられるのが現状です。
そのことを鑑みて今の住宅戸数についてどうお考えでしょうか。 増築や新築する計画はないのでしょうか? 足りているとすればなにをもって足りているとするのでしょうか? また、年数が経ち古くなったところの改修や高層のエレベータの設置など、手を当てて、市民誰もが選べるようにすすめるべきではないでしょうか。 市営住宅の役割を行政として、どうお考えになっているのかを踏まえながら、 お答えください。
また本市には、中堅所得者層向けの市営住宅が芳斉にございますが、いつも満室で空きが出ない物件だと聞いております。 そもそも建設されたのは町中定住促進の一貫であるとのことですが、新たな中堅所得者層向けの住宅を町中に新築する計画はないのでしょうか? また、一般的な市営住宅についても町中への進出は考えられて来なかったのでしょうか? 運転できないご高齢者や車を持てない生活保護世帯、そして今後入居基準が緩和されたときに、単身で車をもてない若者にも大変喜ばれるし、市内に人を集め活性化するいい機会になるのではないでしょうか?
最後に、8月26日に可決された「地域主権改革一括法」による「公営住宅法の」改訂後の影響についておたずねいたします。入居収入基準、整備基準を自治体が条例で定めることになり、同居親族要件も削除されることになりますが、本市ではどうなるのでしょうか。 この法改訂が入居の門を更に狭めたり、入居されている方々に支障が出て、本来の市営住宅の役割を失わないような計画が必要です。
④ 学童保育
最後に、放課後児童クラブ、すなわち学童保育についてお伺い致します。
山野市長も議員時代に、金沢の学童保育連絡協議会で顧問をされていたと伺っております。 学校から帰ってきた子どもたちがひとりぼっちではなく、仲間と安全に安心 して過ごし成長発達の場となる学童保育。 現在、全国では東北3県の数値を除いても、前年比で667カ所増え、初めて2万カ所を超えました。入所児童数は2万9千人増えて約82万人となりました。この10年間では、学童保育数・児童数とも約2倍となり、待機児童までもが存在することも把握されています。 本市では本年、新たに田上校下にひとつ増えて80施設、3843人の児童 が放課後を学童保育で過ごしています。 今や子どもにとっても、保護者にとっても学童保育がなくてはならない存在 になっています。 今年の10月には日本海側初のここ金沢で、全国学童保育連絡協議会主催の 「全国学童保育研究集会」が開かれ、全国の関係者が一同に学び、経験を交流し合います。 そんな中、今年の8月をもって閉所した学童保育が本市にあるのです。 ちょうど私の生まれる前の年に開園し、30年以上も地域の学童保育として 親しまれてきました。 私も小学校1年生から5年生までの間を過ごし、両親が共働きながらも一人で過ごすことなく集団の中でいきいきと楽しく成長することができました。 料理やけん玉、百人一首にキャンプなど楽しい経験も、今では生きるうえでの財産となっています。 地域に根付いたひとつの施設であり、最後まであの地域での学童保育を望ん でいる子どもや保護者らがいたと聴き残念でなりません。 まずは率直に、30年以上続いた学童保育が閉所したことについてどう思われるのかお聴きします。そして、その原因をどうお考えになり、どう教訓化されるのかお聴かせください。
学童保育は以前からさまざまな問題や矛盾を抱えています。 ひとつは、国はガイドラインしかもたず、施設ひとつあたりの年間の運営費 を、実際は1,000万円かかるところを、450万円と見込んだ補助金を出しているのみで、具体的な法律や指導員配置や施設基準も事業者任せという状況。国の補助金に金沢市が上乗せした形で6割、入所者からの保育料で4割という比率で学童保育は運営されています。どの学童保育も四苦八苦していると伺っておりますが、どのように把握しておられるでしょうか。
2つめに、若い指導員さんをはじめとし、指導員さんの給与が少なく労働条件も安定しないという声をよく伺いますが、指導員さんへの給与基準や労働条件をどのように設定しているのでしょうか?
3つめに、運営は金沢市が地区の社会福祉協議会に委託し、地域の運営委員会を設置して行うものとなっていますが、本来社会福祉協議会でも地域運営委員会でもなく行政が責任を負うべきと思いますがいかがでしょうか。
4つめに、少人数の学童保育では、得られる保育料も少なく、毎年入所児童の変動もあったりして当然経営は困難にならざるを得ないと思いますがどのように対処しておられるのでしょうか。少人数であれ大人数であれ、児童の人数で運営が左右されること自体あってはならないことです。
5つめに、金沢市では保育料が5000円台から1万円以上と開きがあることについてどうお考えでしょうか。高い保育料では払えず、入所をあきらめざるを得ない世帯もあると聞いていますが本市ではどのように把握しておられますか。
今あげた問題点はほとんどが、国では放課後児童クラブについては、ガイドラインしかもたず、法律や施設基準、指導員配置などが定められていないことによって起きたことであり、学童保育関係者の多くが国への法律化を強く要望しているところです。 本市としてもぜひ国へその声をあげるべきですし、行政が子どもの成長発達に責任をもってもっと深く関わるべきことは言うまでもありません。 現状の問題点を踏まえ金沢市としてどのように学童保育に関わっていこうとお考えかお聞かせください。
以上で質問を終わります。