もうすぐオープン予定の金沢スタジアム。観客席1万席の大きいサッカー場です。何年もマスコミにも取り上げられてきており、多くのみなさんはツエーゲンのために作られたと思われていることでしょう。
ただ、ツエーゲンはあくまで民間であり、民間のために地方自治体が公共施設を建てるということはほぼありません。金沢市がツエーゲンのホームタウンになったり、ホームスタジアムとして受け入れたりしてきた経緯、そしてあわせて施設の規模・内容とか、施設の指定管理という施設の在り様でツエーゲンのためなのかな、というニュアンスを醸し出しています。
さらに、人工芝(Jリーグ基準)ですので年間365日のうち、60日ほどしか試合には使用できず、そのうち30日はツエーゲンが使うそうです。
こうした施設がどのように建設に至ったのか経過や課題を振り返っていきます。
金沢スタジアムの概要
建設に至った経緯
平成26年6月議事録
市民スポーツ課長
「サッカー場だが、ツエーゲン金沢がJ3に上がったが、J3は観客席1万人以上の規模のスタジアムでないとJリーグ公式戦が開催できない。第2回国体の会場として利用した市民サッカー場は観客席3,000席なので、現在、ツエーゲン金沢の試合は西部緑地公園陸上競技場のみでの開催になっている。」
※元々あった市民サッカー場は、平成3年3月の石川国体のときにできており、耐用年数は50年と言われていました。つまり、およそ2040年まで使える予定でした。
しかし、その後
平成30年度 金沢市スポーツ文化推進条例 制定
その4月に、金沢市がツエーゲンのホームタウンになり、
平成29年度 10月文教消防常任委員会 議事録
最初は「改築」ではなく「改修」だった
吉田スポーツ部長
「(スポーツ施設整備計画)第1次計画の概要だが、城北市民運動公園では、サッカー場を改修(修理)したいと考えており、メーンスタンド、サイド、バックスタンドの改修や増設を行うとともに(中略)、、第1次計画の内容で、城北市民運動公園の市民サッカー場については、現在3,000席のベンチシートがあるが、スタンドを改修して椅子席1万席を整備するほか、Jリーグ基準に沿った内部改修も想定している。」
平成31年 2月文教消防常任委員会 議事録
「改修」から「移転改築」へ
小林スポーツ振興課長
「市民サッカー場については、当初、既存施設を改修して収容人数を1万人にするとしていたが、基本計画を策定するに当たり、関係団体であるJリーグ等と協議を進める中で、施設の規模もさることながら、Jリーグではお客様のホスピタリティー--単にスポーツを観戦するだけではなく、観戦しつつも楽しんでもらう施設にすることを重要視しており、観客の動線やもてなし空間が必要だという話が出てきた。既存のサッカー場の敷地において、観客席について3,000人から1万人規模にすることは可能だが、もてなし空間や動線等を確保するためには、現在の敷地ではおさまらないため、第1次スポーツ施設設備計画の見直しが必要になったことから、平成31年1月18日にスポーツ推進審議会を開催して、第1次スポーツ施設整備計画の見直しの内容を説明した。最終的には、既存の位置での改修でもてなし空間等を確保することが困難であることから、城北市民運動公園内の他の場所での改築(作り替え)という形で進めることについて、スポーツ推進審議会での承認を得たところである。」
令和元年度 金沢市民サッカー場再整備工事 基本設計
令和2年度 金沢市民サッカー場再整備工事 実施設計
森尾嘉昭委員
「城北市民運動公園金沢市民サッカー場再整備工事基本設計の概要について報告があった。2017年--平成29年9月定例月議会で、市長が市民サッカー場におけるJリーグの基準を満たす椅子席1万席の整備等について具体的に検討を進めていきたいとして、現在のサッカー場の観客席を3,000人から1万人規模に増やす方向性を示した。その後、2019年1月18日、本市のスポーツ推進審議会において、第1次スポーツ施設整備計画の見直しを行った。当初、現在地で改修し、1万席のサッカースタジアムとする計画から、公園内の別の場所に新設するという方針に転換した。その理由は、Jリーグの試合ができる1万人収容のサッカー場に改修することを検討したが、飲食スペースやおもてなし空間も確保する必要が出たためで、計画を変更し、完成も1年延長して2023年度になる。」
令和3年度 起工式(9月28日)
令和4年度9月 金沢市がツエーゲンのホームスタジアムとすることを表明。※5月にホーム スタジアムとして使用したい要望書がツエーゲンから出されていた。
令和5年度9月末 竣工予定
令和6年度2月 オープン予定
建設費
82億4千万円
付随して、1700台の南駐車場建設事業費は、9億1千万円。さらに、周辺整備事業、現在の市民サッカー場を解体し、ジュニア用のサッカーコートの移転・新築と事業が続き、総事業費は、資材高騰等の影響もあり110億円から120億円に膨らむ予定
指定管理について
令和5年度 5月 指定管理者の応募を開始
令和5年度 8月の総務常任委員会で結果報告
構成団体に、㈱石川ツエーゲンが入っています。しかし、たしか市長は㈱石川ツエーゲンの取締役ではなかったか?
そのときの質疑☟
令和4年 6月定例月議会質問より抜粋
・市長が㈱石川ツエーゲンの取締役であることについて
広田
ツエーゲン金沢は、本市をホームタウンとし、本市も活動を支援しています。しかし、市長がツエーゲン金沢を運営する株式会社石川ツエーゲンの取締役まで務めている(2022年4月28日から)ということを、先般知りました。まず、それはなぜなのか。さらに、ホームスタジアムの要望書が出された今年度、歴代副市長が務めていた取締役を市長へと変えています。ホームスタジアムの最終決定は市長です。利益相反に当たらないのか、明らかにしてください。
市長
ツエーゲン金沢から要望書が提出されました。こちらについては、金沢市サッカー協会や県及び関係団体とも調整しながら、受入れについて前向きに検討したいと考えております。また、ツエーゲン金沢は、Jリーグ理念及びチーム理念が合致した活動として本市のスポーツによるまちづくりにも通じることから、副市長が取締役に就任してその後現在に至っております。地方公務員法第38条の営利企業への従事等の制限は特別職には適用されず、地方自治法の第142条長の兼業禁止についても該当する事実がないため、取締役就任には問題がなく、利益相反には当たらないと考えております。
※しかし、この選定結果の報告の際に総務常任委員会で森尾市議が確認したところ、金沢スタジアムの指定管理を公募する際に、市長は取締役を辞任(2023年4月25日)していたことがわかったのです。
理由としては、指定管理の募集要項の欠格条項に「指定を請負とみなした場合に、地方自治法第 92 条の2、第 142 条、第 166 条第2項及び第 180 条の5第6項の規定に抵触するもの。ただし、地方自治法施行令第 122条及び第 133 条の規定に該当する場合を除く。」があり、それで取締り役は退いたとのことです。
そのほか、課題となっていることは以下の通りです。
ネーミングライツについて
この件に関しても質問をしていました。
令和4年 6月定例月議会質問より抜粋
広田
市民サッカー場は、市民の税金など100億円余りで建てられる公の施設です。住民の公平な利用に供するために公の財政によって設置するものであり、特定の大企業や商品の宣伝のために用いるのは本来の役割とは異なります。さらに、導入の可能性を調査検討するためだけに130万円もの予算が提案されています。市民の多額の税金を使いながらも、市民サッカー場が市民のものではなく、民間のものに変貌していくことを危惧します。ネーミングライツはやめるよう求めますが、いかがでしょうか。
市長
今回新たなサッカー場の完成を契機に、観るスポーツの拠点として持続可能なスタジアムとなるよう、ネーミングライツの導入について、他都市の事例調査やサウンディング調査なども実施して検討するものでございます。
そして、先日ついに優先交渉権者が決まったと報告がありました。
「金沢ゴーゴーカレースタジアム」
もちろん、正式名称にはできず愛称にとどまりますが、市民のための施設であることの意識がますます薄れていくような気がします。
あと、ほかにも質疑しました。
令和4年 6月定例月議会質問より抜粋
クラウドファンディングについて
広田
また、施設設備の充実のためとして、ふるさと納税でクラウドファンディングに取り組む予算が示されました。なぜクラウドファンディングなのか、そして、寄付した方だけ施設に名前が刻まれるなど特権が付与されるとしていますが、公的施設にふさわしいやり方とは言えません。見解を伺います。
市長
市民サッカー場におけるクラウドファンディングは、寄附を通じて市民の参加意識を醸成するとともに、厳しい財政状況の中、市民等のサポートもいただいてより充実した施設としたいと考えておりまして、集まった寄附金を利用してキッズスペースや多様な観戦環境を整備することが目的でございます。寄附者だけでなく、多くの人が快適に利用できる施設を整備するための有効な手段の一つと考えております。