冬になると、私のところには市民のみなさんから除雪についてのご相談が寄せられます。
「家の前の道路には除雪が入らない」
「同じ町会なのに、除雪される道路とされない道路がある」
「高齢になり、自分たちで雪かきをするのが難しくなった」
こうした声は、以前から変わらず寄せられています。
私はこれまで、金沢市議会で繰り返し除雪対策について質問してきました。
今回は、2021年5月に「金沢市の除雪が富山・福井の半分しかされていない件について」として、金沢市の除雪体制の問題を取り上げてから現在まで、金沢市の除雪対策がどう変わってきたのか、そして何が課題として残っているのかを整理してご報告します。
目次
2021年、金沢市の除雪は「市道の4割」だった
2021年に私が調べた当時、金沢市が除雪を行う計画路線は、市道全体のおよそ4割でした。
一方、当時の聞き取りでは、福井市は約85%、富山市は約81%の市道を市の責任で除雪していました。
金沢市では、市が計画路線を除雪する一方、それ以外の生活道路については、市民や町会などによる除雪が前提となっていました。
私は、この仕組みについて、
「最初から市道の4割しか市が除雪しない計画でよいのか」
と議会で繰り返し問い、市が責任を持って除雪する路線を増やすよう求めてきました。
2021年3月議会でも、計画路線の拡大や、民間への機械貸与、道路等管理事務所の拡充などを提案しました。
市からは、委託業者の掘り起こしなどを進め、必要な路線について計画路線への指定を検討するとの答弁がありました。
その後、除雪の「基準」は改善されました
2021年以降、私が市に求めてきたことのすべてが実現したわけではありません。
一方で、除雪の出動基準など、具体的に改善された部分もあります。
2021年度には、第2次路線の除雪出動基準が、
積雪15cm以上 → 10cm以上
へと緩和されました。
また、雪害対策本部の設置基準も見直され、それに伴って地域除排雪活動費補助制度も拡充されました。
地域除排雪活動費補助は、
- 補助率を2分の1から4分の3へ
- 上限額を30万円から50万円へ
- 対象を市道だけでなく、通学路や災害時避難通路などの生活道路にも拡大
するなどの変更が行われました。
私は2021年11月、この改善についても報告しました。
ただし、その時点でも市が計画的に除雪する市道は4割のままでした。
そのため、私は「基準の改善は評価できるが、市が行う除雪範囲そのものを広げる必要がある」と考え、引き続き議会で取り上げてきました。
2023年度には第3次路線の基準が60cmから30cmへ
その後、さらに大きな変更がありました。
第3次路線について、これまでは積雪60cmを一つの基準としていましたが、2023年度から、
60cm → 30cm
へと変更されました。
これは32年ぶりの変更でした。
これまで第3次路線には、かなり雪が積もらないと除雪車が入らない仕組みでしたが、30cmという段階から対応できるようになりました。
私は市民のみなさんからも、この変更について「以前より除雪に入ってもらいやすくなった」といった声をいただいています。
2024年にも、この点について改めて報告しました。
しかし、「4割」という基本的な問題は残っています
ここは、2021年から現在までを振り返るうえで重要なところです。
出動基準は改善されました。
地域への補助制度も拡充されました。
しかし、市が計画的に除雪する市道の割合そのものは、大きく変わっていません。
2024年12月議会で市に確認したところ、金沢市の除雪路線の割合は過去30年以上、4割程度で推移しているとの答弁でした。
市は、少子高齢化や生活環境の変化によって除雪ニーズが高まっていることを認識し、地域除排雪活動への補助制度などを拡充してきたと説明しています。
一方で、建設業の担い手不足などから、除雪業者やオペレーターの確保が難しく、除雪路線の割合を大幅に拡充することは難しいとの説明もありました。
私は、この点について引き続き課題だと考えています。
「人がいないから増やせない」で終わらせていいのか
除雪路線を増やすうえで、除雪業者やオペレーターの確保が課題になっていることは、私も認識しています。
しかし、ここで考えなければならないのは、
「除雪を担う人が確保できないのであれば、自治体としてその環境をどう整えるのか」
ということです。
2025年9月議会では、私は福井市の除雪について視察したことを踏まえて質問しました。
福井市は金沢市と市道延長がほぼ同じ規模でありながら、市の責任で除雪する割合は約85%です。
そこで、金沢市と福井市で、
- 除雪機械の数
- オペレーターの数
- 委託業者の状況
などを比較しました。
単純に「金沢市は機械や人が少ないから除雪路線を増やせない」とは言い切れない状況も見えてきました。
除雪体制をどう組み立てれば、より多くの道路を市の責任で除雪できるのか。
これは今後も検証していく必要があります。
2025年度には地域除排雪の補助上限が70万円に
一方、地域で行う除排雪への支援についても改善が進んでいます。
2025年度には、地域除排雪活動費補助の上限額が、
50万円 → 70万円
へ引き上げられました。
補助率は4分の3です。
2021年当時と比べても、地域の除排雪を支える制度は拡充されています。
ただ、ここで忘れてはいけないのは、地域除雪を担っているのも市民のみなさんだということです。
町会のみなさんが業者に依頼したり、自分たちで除雪機を動かしたりすることで、地域の道路が維持されています。
制度を拡充することは必要ですが、それだけで市の道路管理の責任が地域に移ってよいわけではありません。
2026年1月の大雪で見えた「高齢者の除雪」という問題
そして2026年1月、大きな雪が降りました。
1月25日早朝には、金沢市で積雪64cm、6時間降雪量37cmを観測しました。
短時間に大量の雪が降ったことで、除雪される道路と、雪が残った道路の差がはっきりと現れました。
私のところにも、
「同じ町会なのに、なぜあの道路は除雪されて、こちらはされないのか」
という声が寄せられました。
さらに、今回の大雪では除雪作業中の人的被害も発生しました。
重症・軽傷を合わせて9人が被害に遭い、そのうち7人が高齢者、90代の方も3人いらっしゃいました。
私は2月議会でこの問題を取り上げました。
高齢化や空き家の増加が進む中、これまでのように「地域のみなさんで除雪してください」という仕組みだけでは、限界が来ているのではないでしょうか。
除雪は単なる道路交通の問題ではなく、市民の命と暮らしに関わる問題になっています。
除雪情報の「見える化」も進んでいます
もう一つ、近年変わってきたのが除雪状況の情報提供です。
金沢市では、除雪車のGPSやカメラなどを活用した情報の把握・公開についても取り組みが進められています。
2025年3月議会では、私は除雪状況の情報公開について質問しました。
市からは、石川県広域データ連携基盤を利用した除雪情報の公開について検討しているとの答弁がありました。
私は、こうしたデジタル技術を活用すること自体は重要だと考えています。
ただし、
GPSを導入したからといって、除雪される道路そのものが増えるわけではありません。
情報を見えるようにすることと、除雪体制そのものを強化することは、分けて考える必要があります。
2021年から2026年までを振り返って
ここまで、私が議会で取り上げてきた内容と、その後の金沢市の対応を振り返ってきました。
この5年間で、変わったことはあります。
改善されたこと
- 第2次路線の出動基準が15cmから10cmへ緩和
- 第3次路線の基準が60cmから30cmへ緩和
- 雪害対策本部の設置基準の見直し
- 地域除排雪活動費補助制度の拡充
- 補助上限額が30万円→50万円→70万円へ拡充
- 除雪機械やオペレーター確保への支援
- 除雪状況を把握・公開するためのデジタル化
などです。
一方で、変わっていない大きな問題もあります。
いまだ残る課題
市が計画的に除雪する市道の割合が、4割程度にとどまっていることです。
2024年の市の答弁でも、過去30年以上、4割程度で推移していることが明らかになっています。
2021年に私が問題提起したときから、この基本的な構造は変わっていません。
私がこれからも求めていきたいこと
私はこれまで、金沢市の除雪について、
「市民のみなさんに頑張ってもらう除雪」から、「市が責任を持って支える除雪」へ転換すること
を求めてきました。
もちろん、雪国で暮らす以上、地域で協力しながら除雪すること自体は大切です。
しかし、高齢化が進み、空き家も増え、地域の担い手が減っている中で、これまでと同じように住民の力に頼り続けることができるのか。
私は、ここを改めて考える時期に来ていると思います。
特に、
- 市が除雪する計画路線をどう増やすのか
- 除雪業者やオペレーターをどう確保するのか
- 市が所有・管理する除雪機械をどう活用するのか
- リースなども含めて除雪体制をどう構築するのか
- 高齢者や要支援世帯の除雪をどう支えるのか
- 歩道や通学路の除雪をどう強化するのか
- 除雪状況を市民にどう分かりやすく伝えるのか
といった課題について、引き続き検討が必要です。
「4割」から、さらに先へ
2021年に私が「金沢市の除雪が富山・福井の半分しかされていない」と問題提起してから、5年が経ちました。
この間、除雪の出動基準は改善され、地域への支援も拡充されました。
そのことは、これまで市民のみなさんと一緒に声を上げ、議会で取り上げてきた成果の一つでもあります。
一方で、市が計画的に除雪する道路の割合は、いまだ4割程度です。
そして2026年1月の大雪では、高齢者を中心に除雪作業中の人的被害も発生しました。
「雪が降ったら、自分たちで除雪する」ということを前提にした仕組みには、限界があります。
これからは、人口減少や高齢化、担い手不足という現実を踏まえたうえで、市民の命と暮らしを守るために、自治体としてどこまで除雪に責任を持つのかが問われています。
私はこれからも、金沢市の除雪について、市民のみなさんから寄せられる声を大切にしながら、議会で取り上げていきます。
そして、2021年から求め続けてきた**「市が責任を持つ除雪路線の拡充」**についても、引き続き検証していきます。