共働き家庭などにとって、子どもが小学校から帰ったあとに安心して過ごせる学童保育(放課後児童クラブ)は、仕事と子育てを両立するために欠かせない存在です。
しかし、金沢市の学童保育については、利用したくても入れない子どもがいること、支援員の確保が難しいこと、保護者の利用料負担、施設の老朽化など、さまざまな課題が指摘されてきました。
私はこれまで、保護者や支援員のみなさんから現場の声を聞き、金沢市議会での質問や市への要望を通じて、学童保育の改善・拡充を求めてきました。
この記事では、金沢市の学童保育をめぐる問題と、これまでの改善、そして今後必要な対策についてまとめます。
目次
1.学童保育に入りたくても入れない子どもがいる
学童保育をめぐる大きな課題の一つが、利用を希望していても入所できない子どもがいることです。
2021年の市民福祉常任委員会では、金沢市が公表する待機児童数だけでは、実際に利用できずに困っている家庭の状況を十分に把握できないのではないかと指摘しました。
例えば、次のようなケースがあります。
- 説明会の段階で定員がいっぱいだと伝えられ、申し込みをあきらめる
- 低学年までしか受け入れておらず、高学年の子どもが利用できない
- 電話で問い合わせたものの、空きがないと断られる
- 利用料が高いため、利用を断念する
こうした家庭は、正式な申し込みやキャンセル待ちに至らない場合があり、行政が把握する待機児童数に反映されない可能性があります。
また、地域によって利用希望者数や施設の状況が異なるため、学童保育を新設しても、必要とされている地域の不足が解消されるとは限りません。
市が利用希望の実態を把握し、整備計画をつくるべき
保育所などでは、利用希望や待機児童の状況を把握し、必要な地域に施設を整備することが求められます。
学童保育についても、利用を希望した人数、入所できなかった人数、学年や地域ごとの需要などを市が把握する必要があります。
その実態をもとに、どの地域に、どれだけの受け入れ枠が必要なのかを明らかにし、計画的に施設を整備していくべきです。
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2.支援員不足と低い賃金の問題
学童保育を安定して運営するには、子どもたちを見守り、生活や遊びを支える放課後児童支援員の確保が欠かせません。
しかし、支援員の不足や処遇の問題が、長年にわたって指摘されてきました。
2023年11月に保護者や支援員のみなさんと金沢市の担当課が懇談した際には、現場から切実な声が寄せられました。
「物価高騰でおやつを減らさざるを得ないが、子どもたちのことを考えると心苦しい」
「資格を持った支援員をもう一人確保したいが、採用できない。クラブを閉めるわけにはいかず、自分の子どもの行事にも出られない」
こうした声からも、人員不足が現場の負担につながっていることがわかります。
2023年12月議会では、正規の支援員が不足し、職員の休みや感染症などをきっかけにクラブの運営自体が難しくなった事例を取り上げました。
市長も、小規模な放課後児童クラブなどで職員配置に苦慮している状況を認識していると答弁しています。
処遇改善と人員確保を一体で進める必要がある
支援員の仕事は、子どもの安全を守り、放課後の生活を支える責任の重い仕事です。
安心して働き続けられる給与や休暇の確保、必要な人数を配置できる運営体制がなければ、職員の定着や人材確保は難しくなります。
そのため、支援員の処遇改善に必要な財源を確保し、国の補助制度も十分に活用するとともに、現場の勤務実態に合った人件費を運営費に反映させることが重要です。
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3.保護者の利用料負担と運営費の問題
学童保育を利用する家庭にとって、毎月の利用料も大きな負担です。
2023年11月の懇談では、物価高騰によっておやつなどの費用にも影響が出ていることや、支援員を増やしたくても確保できないことが報告されました。
背景には、施設の運営費や人件費を十分に確保できているのかという問題があります。
運営費が不足すれば、支援員の給与を引き上げたり、必要な職員を増やしたりすることが難しくなります。保護者の利用料に頼りすぎれば、利用料を引き下げることも困難になります。
子どもたちが安心して過ごせる環境を整えるためにも、公費による支援を拡充し、保護者の負担軽減と安定した運営を両立させる必要があります。
利用料の軽減対象は広がっている
金沢市では、児童クラブの第2子以降の利用料減免について、ひとり親世帯だけでなく、低所得世帯にも対象が広がりました。
これは、経済的な事情によって学童保育を利用しにくくなる家庭を減らすうえで、前進といえます。
一方で、利用料の負担を理由に利用を断念する家庭がないよう、支援の効果を検証し、必要に応じて制度を拡充することが引き続き重要です。
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4.施設の老朽化や安全性も課題
学童保育の整備では、施設の数を増やすだけでなく、子どもたちが安全に過ごせる環境を確保することも重要です。
金沢市では、地域団体などが運営する学童保育が多く、古い民家などを活用している施設もあります。施設によっては、老朽化や耐震性などへの対応が課題となっています。
2021年の保護者・支援員との要望や懇談でも、施設の安全性について不安の声が寄せられました。
施設の改修や移転には費用がかかります。運営団体や保護者だけで対応することには限界があるため、市が施設の状況を把握し、安全性の確保に向けて必要な支援を行うことが求められます。
施設使用料への助成は拡充された
2024年3月議会では、学童保育の新設などにかかる施設使用料の助成制度が拡充されることについて質問しました。
市の答弁では、施設使用料の助成を拡充することで、児童クラブの新設や、より良い環境への移転を促し、待機児童の解消と保育環境の向上につなげたいと説明されました。
施設整備への支援は前進ですが、地域ごとの利用需要に合った整備が進んでいるか、老朽化や耐震性の課題が改善されているかを引き続き確認する必要があります。
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5.これまでに進んだ改善と、残された課題
学童保育の改善を求める保護者や支援員のみなさんの声、議会での質問などを通じて、金沢市でも制度の改善が進んできました。
主な動きは次のとおりです。
- 2024年度: 放課後児童支援員の処遇改善が行われ、人件費の積算額が引き上げられました。施設使用料への助成も拡充されました。
- 2025年度: 支援員の処遇改善が引き続き行われました。第2子以降の利用料減免についても、低所得世帯への対象拡大が進みました。
- 2026年度: 学童保育の運営を支える補助単価の引き上げが掲げられています。
こうした改善は、現場の声を反映して前進してきたものです。
ただし、支援員の処遇改善や運営費の増額だけで、すべての問題が解決するわけではありません。
利用したい子どもが実際に入所できているのか、支援員が必要な人数だけ確保できているのか、利用料の負担が重すぎないか、施設の安全性が保たれているかなど、複数の視点から検証する必要があります。
最新の議会での質問と市の答弁については、こちらをご覧ください。
6.今後、金沢市に求めたい対策
これまでの取り組みを踏まえ、今後は次の点を重視して改善を進める必要があります。
① 待機児童の実態を把握し、地域ごとの整備計画をつくる
正式な待機児童数だけでなく、申し込みをあきらめた家庭や、高学年の受け入れが難しいケースなども把握することが必要です。
地域別・学年別の利用希望を調査し、必要な受け入れ枠を明らかにしたうえで、施設の新設や定員拡大を計画的に進めるべきです。
② 支援員の給与・労働条件を改善し、人材を確保する
支援員が安心して働き続けられるよう、人件費の積算や運営費の水準を実態に合ったものにし、国の処遇改善制度も十分に活用する必要があります。
休暇を取得できる人員体制を整え、特定の職員に過度な負担が集中しないようにすることも重要です。
③ 保護者の利用料負担を軽減する
利用料の減免制度を必要とする家庭が利用できるよう、制度の周知を徹底するとともに、支援の対象や水準について検証する必要があります。
運営費を確保し、保護者の負担を抑えながら、子どもたちに必要な保育環境を提供できる仕組みを整えるべきです。
④ 施設の安全性を市の責任で確保する
老朽化や耐震性などの課題を把握し、必要な改修や移転を計画的に進めることが求められます。
地域の運営団体や保護者だけに負担を求めるのではなく、市が必要な財政支援を行い、安全な施設環境を確保することが重要です。
⑤ 保護者・支援員・運営団体の声を継続的に聞く
制度を改善するには、行政側の数字だけでなく、実際に利用する保護者や現場で働く支援員の声を把握することが欠かせません。
定期的な懇談や調査を行い、改善策が現場で役立っているかを確認しながら、必要な見直しを進めるべきです。
おわりに――子どもも保護者も支援員も安心できる学童保育へ
学童保育は、子どもたちが放課後を安心して過ごすための大切な居場所であり、保護者が働き続けるためにも欠かせない社会的な仕組みです。
その運営を地域の団体や現場の支援員の努力だけに頼るのではなく、金沢市が責任を持って、必要な施設・人員・財源を確保していくことが重要です。
これまで、保護者や支援員のみなさんとともに、待機児童の解消、支援員の処遇改善、利用料の軽減、施設整備の支援を求めてきました。
一部では改善が進んでいますが、必要な子どもが安心して利用できる環境を整えるためには、引き続き取り組むべき課題があります。
今後も、現場のみなさんの声を聞きながら、子どもたちが安心して過ごせる学童保育と、保護者が安心して働き続けられる金沢市を目指して、議会での質問や市への働きかけを続けていきます。